2013 Fiscal Year Research-status Report
学習中の成績をも低下させずに学習効果を高める運動学習スケジュールに関する研究
Project/Area Number |
25350758
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
筒井 清次郎 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (00175465)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 文脈干渉効果 / 自己調整練習 / 到達変換練習 / ランダム練習 / ブロック練習 / 両手協応課題 / 同時リアルタイムフィードバック / 先行オーガナイザ |
Research Abstract |
平成25年度は、協応動作学習において習得試行及び保持テスト両方に有効な学習スケジュールを検討するために、同時リアルタイムフィードバックを用いて到達変換練習条件(3試行のRMSEが25になるまで同じ課題を続け、達成以降は次の課題を3試行のRMSEが25になるまで行い、これをランダムに繰り返す)、自己調整練習条件(3試行のRMSEが25になるまで同じ課題を続け、達成以降は学習者が練習スケジュールを決定する)、後半ランダム練習条件(3試行のRMSEが25になるまで同じ課題を続け、達成以降はランダムに課題を行う)、完全ランダム練習条件、及び、ブロック練習条件を比較した。習得試行は3日間で、習得一週間後に保持テストが行われた。課題は両手の位相をずらす両手協応課題が用いられた。 習得試行のRMSEにおいて、5群間に有意な差はみられず、保持テストにおいて、完全ランダム練習条件、後半ランダム練習条件、及び、自己調整練習条件が、ブロック練習条件より有意に優れていた。したがって、文脈干渉効果が生じ、干渉の低いブロック練習は、より干渉の高い完全ランダム練習条件、後半ランダム練習条件、及び、自己調整練習条件に比べて、有効なスケジュールではないことが示された。しかし、より干渉の高い群において、干渉の程度による違いは示されなかった。 また、本研究において、同時リアルタイムフィードバック、及び、先行オーガナイザとして、課題に関する詳細な説明を事前に行ったところ、他の課題においてよく見られる、完全ランダム練習条件における習得試行におけるパフォーマンスの低迷を防ぐことができた。このことは、学習中の成績をも低下させずに学習効果を高めるためには、当初想定していた運動学習スケジュールによる工夫ではなく、同時リアルタイムフィードバックなどのパフォーマンスの知識が有効である可能性も考えられることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
同時リアルタイムフィードバック、及び、先行オーガナイザとして、課題に関する詳細な説明を事前に行ったところ、他の課題においてよく見られる、完全ランダム練習条件における習得試行におけるパフォーマンスの低迷を防ぐことができた。このことは、学習中の成績をも低下させずに学習効果を高めるためには、当初想定していた運動学習スケジュールによる工夫ではなく、同時リアルタイムフィードバックなどのパフォーマンスの知識が有効である可能性も考えられることを示している。習後の成果が優れており、しかも、学習中の低下を引き起こさなかった点は学習実験としては望ましい結果であるものの、この結果は、この課題特有のものであるのか、あるいは、同時リアルタイムフィードバック、及び、先行オーガナイザを与えたことによるのか、追実験を行う必要がある。また、ブロック練習が劣っていたものの、他の群間に学習中も学習後も差がみられず。よい望ましい学習スケジュールについては、言及できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
通常の文脈干渉実験で見られる、学習中の成績は劣るものの学習後の成果は高いという事態には至らなかった。学習後の成果が優れており、しかも、学習中の低下を引き起こさなかった点は学習実験としては望ましい結果であるものの、この結果は、この課題特有のものであるのか、あるいは、同時リアルタイムフィードバック、及び、先行オーガナイザを与えたことによるのか、追実験を行う必要がある。そこで、先行オーガナイザを与えなかった場合、同時リアルタイムフィードバックではなく、終了後リアルタイムフィードバックに変えた場合にどうなるか、という点に関して、追実験を行う必要がある。 また、ブロック練習が劣っていたものの、他の群間に学習中も学習後も差がみられず。よい望ましい学習スケジュールについては、言及できなかった。そこで、段階的に自己調整練習の割合を増やすなどの学習スケジュールとの比較を行う必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究室の学生を対象とした実験の授業として行ったため、参加者への謝金が不要になったため。 平成25年度の研究結果の解釈が多義的なため、当初予定よりも一つ多くの実験を行う必要がある。そのため、参加者謝金やデータ分析謝金がより多く必要になることが考えられるため、その部分に平成25年度の残額を使用することを考えている。
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Research Products
(6 results)