2014 Fiscal Year Research-status Report
学習中の成績をも低下させずに学習効果を高める運動学習スケジュールに関する研究
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25350758
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
筒井 清次郎 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (00175465)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 同時的フィードバック / 最終的フィードバック / 両手協応課題 / ガイダンス仮説 |
Outline of Annual Research Achievements |
Ⅰ 研究目的 運動遂行中に与えられる同時的FBと運動遂行後に与えられる最終的FBが、習得期間中及び保時テストに及ぼす影響を検討した。工藤ら(1977)は直径15㎝の円を描く実験課題を用いて,同時的FB群よりも最終的FB群の方が保持テストにおいて優れた結果を残すことを示した.しかし,この実験において用いられた課題は冗長度が低いという問題が残っている.運動学習において,課題を設定する際に重要なことは学習者にとって①新規な課題である②できない課題を期間内にできるようになる③学習プロセスが数値としてわかることである.そこで本研究では, 両手の左右運動を1/4周期ずらす課題を用いた. Ⅱ 実験方法と分析方法 1. 対象:大学生24名(男女12名ずつ). 2. 手続き:習得期間として1日の練習を15試行×3セットとし,3日間行った.1日目は練習試行の前に5試行のプレテストを行った.習得期間終了1週間後に保持テストを2試行行った.3. 分析方法:目標とする位相の角度との絶対恒常誤差と1試行中の安定性を表す標準偏差から産出される平均平方偏差を従属変数とした. 習得期については,群×練習日×セットの3要因分散分析を行い,保持テストについては群のt検定を行った. Ⅲ 結果 習得試行において,1日目においては,1セット目よりも2セット目が,また,2セット目よりも3セット目が,2日目においては,1セット目よりも2セット目が優れていた.また,1セット目は1日目よりも2日目が,また,2日目よりも3日目が,2セット目・3セット目は1日目よりも2日目と3日目が優れていた. ガイダンス仮説によると,学習者は必要以上に外在的FBを与えられるとそれに頼りすぎ,内在的FBでを用いることが少なくなるとある.したがって,最終的FB群の方が保持テストにおいて記録が向上すると思われたが、差はみられなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
両手協応課題で用いるポテンシオメーターのテンションが緩み、正しい計測ができなくなり、1ヶ月修理に出していたため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.対象者 大学生48名を予定している. 2.実験課題 新奇的運動である両手の内転-外転動作による周期的運動の位相を,一定のペースで1/8周期,1/4周期,3/8周期ずらしながら保つ両手協応課題を用いる 3.手続き 1)運動のペース 試行時間は1試行10秒間であり,対象者は聴覚メトロノームに合わせて,往復運動を行う.聴覚メトロノームの周波数は2.5Hzであり,1サイクル中に2度メトロノームが鳴るように設定する.2)群分け (1)ブロック練習条件 1日に1課題のみを行い,課題の変更は行わずに練習を行う.(2)完全ランダム練習条件 同じ課題が連続して行われないように研究者によって設定されたスケジュールで練習を行う.(3)ランダム-自己調整練習条件 1日3セット練習が行われるうちの最初の2セットをランダム群と同じスケジュールで練習し,最後の1セットは対象者自らが練習スケジュールを決定する.(4)説明調整練習条件 プレテスト終了後にランダム練習の有効性を説明し,その後対象者自らが練習スケジュールを決定する.3)教示内容 実験開始直前にすべての対象者に対して以下の教示を行う.①両腕が左右対称動作をした場合は,モニターに右上がりの直線が描かれる.②両腕が左右反転運動をした場合は,モニターに左上がりの直線が描かれる.③1/8周期の位相のずれを正しく遂行できた場合は,モニターに右上がりの楕円形が描かれる.④1/4周期の位相のずれを正しく遂行できた場合は,モニターに正円が描かれる.⑤3/8周期の位相のずれを正しく遂行できた場合は,モニターに左上がりの楕円形が描かれる.⑥片方の手の最大内転時及び最大外転時にそれぞれメトロノーム音を同期させ,課題を試行する.4)練習プログラム プレテスト 1/4周期×5試行(1日目の習得試行前) 習得試行 (15試行×3セット)×3日 保持テスト 3課題×5試行(4日目)
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Causes of Carryover |
アメリカにおける国際学会参加を予定していたが、日程上、本務校の仕事を優先し、日本で行われた国際学会に参加し、発表したため、旅費に残額が出た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2年連続謝金が不要なので、前年度旅費が残った分と合わせて、多くの学会発表を行い、情報発信していきたい。また、研究結果を投稿する際の英文校閲などにも経費を分配する予定である。他の経費は予定通り使途する計画である。
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