2015 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素(高地)トレーニングの効果を高める至適条件に関する研究
Project/Area Number |
25350759
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
杉田 正明 三重大学, 教育学部, 教授 (60235885)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 低酸素 / トレーニング / 動脈血酸素飽和度 / 最大酸素摂取量 / 自転車駆動 / オールアウト |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】本年度は、動脈血酸素飽和度(SpO2)の値を88%をトレーニング設定運動強度とし、異なる二つの低酸素濃度レベルの環境下でのトレーニング実験の効果について比較することとした。 【方法】対象者は健常な男子学生16名(年齢20.6(±1.2)歳、身長172.4(±6.3)cm、体重67.8(±7.2)kgであった。対象者を酸素濃度15.4%環境下(標高2500m相当)でトレーニングを行う群8名(15.4%群)と、酸素濃度13.6%(標高3500m相当)8名でトレーニングを行う群8名(13.6%群)に分け、自転車エルゴメーター(COMBI社製AEROBIKE75XLⅡ)を用いた30分間の自転車駆動トレーニングを、週2回の頻度で4週間行った。 【結果】8回のトレーニングのSpO2の平均値は両群ともに目標の範囲内でトレーニングを遂行することができた。8回のトレーニングの運動負荷の平均値は15.4%群で115.1(±25.9)Wであり、13.6%群で49.5(±31.3)Wとなり、両群には有意な差(p<0.001)が認められた。常酸素環境下での多段階負荷試験におけるオールアウトまでの運動時間は、両群共に有意な増加(p<0.01)が認められた。常酸素環境下での多段階負荷試験における最大酸素摂取量(VO2max)は、13.6% 群のVO2maxのみ有意な増加(p<0.01)が認められたが、変化率は15.4%群で1.5(±3.5)%であり、13.6%群で4.6(±3.8)%であり、両群の運動時間とVO2maxの変化率には有意な差は認められなかった。 【結論】同一水準のSpO2をトレーニング時の設定運動強度として異なる低酸素環境下でトレーニングを行った場合、両群ともに運動能力の向上が認められた。しかし、両群間には運動負荷の平均値には65.6Wの差があるにも関わらず同等のトレーニング効果が得られたことは大変興味深い。可能な範囲内で酸素濃度を下げた環境で低強度であるがトレーニングを行うことは意義があることが明らかとなった。
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