2014 Fiscal Year Research-status Report
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25350762
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
藤原 素子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (30220198)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 力発揮 / 等尺性 / 体肢 / 出力調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの随意動作遂行時の素早い筋出力調節に関わる中枢制御機構について、発揮張力を指標として実験を行った。昨年度は両側の下肢で同時に同じ出力発揮(両側とも増加または減少)することを課題としたが、今年度は両側下肢において、左右で異なるレベルへの素早い出力(両側異条件)の調節過程における張力発揮特性を調べた。 女子大学生10名を被験者とし、座位で両側下肢の等尺性膝関節伸展(120°)動作による張力発揮を行った。課題は、最大張力(MVF)の40%から、視覚刺激に対してできるだけ素早く2種類の要求水準(20%MVF、60%MVF)に対して、一側は60%MVFまで増加させ、対側は20%MVFまで減少させることであり、単純反応課題と選択反応課題を行った。発揮張力より、正確性および反応時間(調節開始時間:刺激呈示-張力変化開始、調節時間:張力変化開始-張力変化終了、および両者を合わせた全体調節時間)を求めた。 結果は、正確性に関しては、単純反応課題で力を減らす場合に恒常誤差が大きくなった。すでに報告した左右で同じレベルに出力する場合(両側同条件:左右とも60%MVFもしくは20%MVF)と比較すると、単純反応課題において、力を増やす場合も減らす場合も両側異条件で絶対誤差が大きかった。また反応時間では、選択反応課題で両条件とも力を増やすほうが減らすよりも調節時間と全体調節時間が長くなる傾向がみられた。 以上の結果から、両側同時に異なるレベルに力を調節するときには、力を減少する場合には増加させるときよりも、正確性が低下することが示唆された。また、左右で同じ出力を発揮する場合と比べて、力を増加するときには調節に要する時間が長くなることが示され、中枢における筋出力調節機構における制御様式に関する重要な基礎データを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間の計画における2年目の実験計画を予定通り遂行することができた。データ解析も基本的な解析は終了しており、申請者のこれまでの先行研究結果との対比を検討する課題は残っているものの、いくつかの興味深い知見が得られている状況である。また、今回の結果については、平成27年度に開催される日本体育学会において発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、3年間の最終年度であるため、計画通り実験を遂行するとともに、3年間の結果をまとめてヒトの筋出力調節における中枢制御機構についてまとめる予定である。成果は、翌年の日本バイオメカニクス学会で発表する予定である。研究計画の変更はない。
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