2015 Fiscal Year Annual Research Report
追従式3次元形状解析法による肩甲上腕リズムから投球疲労度を推定できるか?
Project/Area Number |
25350775
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
乙戸 崇寛 埼玉医科大学, 保健医療学部, 准教授 (00562943)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 3-Dデジタイザー法 / 肩甲骨位置 / 投球 / 測定信頼性 |
Outline of Annual Research Achievements |
投球側の肩甲骨位置は、非投球側と比較して前傾、下方回旋している。この肩甲骨位置の変化は投球時における肩峰下インピンジメントの発生要因となることから、投球後の肩甲骨位置の変化を正確に評価し、これを修正することは投球肩障害を予防するために重要である。これまで一般的に用いられる磁気式3次元位置測定法による肩甲骨位置の測定では、胸椎の屈曲および肩関節運動時に皮下を移動する肩甲骨位置を直接測定していないため、実際の肩甲骨位置との誤差が9°~31°と報告されている。そこで、これまで解剖学、歯学分野で主に用いられている3-Dデジタイザー法は、測定の点精度が0.23 mmであり、かつ短時間で非侵襲的に測定が可能であること、また重量が3.6 kgと持ち運びが容易であることからスポーツ現場における投球前後の肩甲骨位置の測定に適しているのではないかと考えた。本研究の目的は、3-Dデジタイザー法による投球後の肩甲骨位置測定の有用性をあきらかにすることである。3-Dデジタイザー法の測定信頼性を骨模型を用いて検討した結果、級内相関係数ICC(2.1)は0.96~0.51、測定の標準誤差(SEM、単位は°)は0.47~0.13であった。ICC(2.1)が低かった理由は、3-Dデジタイザーの点精度が0.23 mmと高い故に、肩甲骨の下角の位置が十分定義できていなかったためと考え、肩甲骨の下角の内側部を「下角」として再規定し、また超音波画像を併用して測定信頼性を向上させた。その結果、絶対誤差を示すSEMは1°未満となり、他の報告と比較して良好な結果となった。また、投球前と比較して投球後の肩甲骨位置は有意に下方回旋、前傾した。これらの結果は、他の測定方法で行った報告と比較して前傾は大きかったものの、他は概ね同じ結果となった。よって、3-Dデジタイザー法により投球後の肩甲骨位置の変化を解析できることが示された.
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