2014 Fiscal Year Research-status Report
地域スポーツの推進計画立案における多元的主体の相互補完的ガバナンスに関する研究
Project/Area Number |
25350786
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
水上 博司 日本大学, 文理学部, 教授 (90242924)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | スポーツ政策 / 地方スポーツ行政 / NPO / 公共政策 / 総合型地域スポーツクラブ / NPOサポートセンター / 社会課題 / 民間非営利活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度の研究成果を踏まえて、健康政策やスポーツ政策という領域に拘らずに、積極的に公共との恊働事業を展開してきたNPO代表者やNPO活動をサポートしているサポートセンターのスタッフ、また基金をとおして公共と民間の恊働事業を後押しし、新しい施策づくりを生み出そうとしている助成担当者らに対するヒヤリング調査を実施した。それらのヒヤリング結果から次のようなことが解明できた。地域住民の中で、計画づくりの目的に近い社会的課題の克服に関わっている、または少しでも関心をもつ住民が計画づくりそのものを有意義なことと思えるような仕掛けが大切であるということ。さらに、有意義だと思えることが住民にとって日常の活動でも感じられるような仕掛けも必要であること。つまり、「推進計画の立案の日常化」とでもいう仕掛けである。計画と評価と改善といったNPO等の組織内プロセスを普段のNPO活動のなかで管理業務および事業として組みいれ、活動による成果と成果による実態の変化や住民の意識変化を日常的に感じ取れるような組織内コミュニティをつくることであった。そのためには、さまざまな公共施策に対して、その施策の受益対象者から漏れている人たちが、なぜ施策対象から除外されてしまうのか、その理由をNPO活動のなかでつねに組織内コミュニティの関係性を構築する視点としてとらえておくことであった。さらに、このことは民間の非営利組織ばかりではなく、公共セクターも、民間(企業)セクターも、同じような組織内コミュニティを創発できる体制を整えておくことであった。そうしたコミュニティの恊働が補完されるときに質の高い恊働モデルが構築され、推進計画が常に成果に対して、厳しく評価をするしくみが各々のセクターに構築されていくものと考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に研究は遂行している。ヒヤリングの対象者の協力もスムーズに得られているし、想定外の研究成果もあった年度であったと認識している。とくに、NPO活動のサポートセンターのスタッフや助成金配分を直接担当しているようなスタッフへのヒヤリング調査では、各々のセクターがかかえる組織内の課題が明らかになった。加えて、引き続きヒヤリング対象者らからは、情報提供をしてもらえることも約束できた。さらに、年度末にはドイツミュンヘンのスポーツクラブへの実地調査を行うことができ、行政と民間非営利組織の昨今における生涯スポーツ施策の立案づくりの課題や方向性に関する情報を得る事ができ、年度をまたいで平成27年度においても継続的に調査を実施していきたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は想定していた以上の研究成果であるが、26年度の成果を学術論文にまとめていないため早急に論文として成果報告をしなければならないと思っている。これまでどおり全体計画の大幅な変更はないが、ドイツバイエルン州におけるスポーツ推進計画の策定に関わり、どのようなセクターがどのような立案に参画し、その成果がどんなふうに住民のスポーツ参加へ影響しているのか、この点についてバイエルン地方のスポーツクラブ10団体を対象にした情報収集を併せておこなっていくことを目指している。日独での比較研究というようなことも可能になってきそうなので、引き続き地方スポーツ推進計画策定の過程で、各セクターがどのような「合意形成」と「相補性構築」をはかっているのか検討をしていきたい。
|
Causes of Carryover |
平成27年度も予定どおり研究を遂行していきたい。次年度以降の繰り越し額は、想定外ではあったがドイツバイエルン州における地方スポーツ推進計画の立案過程解明の調査に充てたいと思ったからである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
10月末から11月初旬にかけて、バイエルン州におけるクラブ調査を現地にて行うことを計画している。もしもそれまで国内でのヒヤリング調査ができなかったら、3月中旬に現地調査に行く予定で計画をたてている。一方で、それまでの間では、10団体のクラブ情報の入手につとめるため、調査をドイツ在住のスポーツ指導者に協力を依頼する。そのための経費としての使用を考えている。
|