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2014 Fiscal Year Research-status Report

ランニングの疲労困憊を決定する最終要因とそれを改善するトレーニング方法の究明

Research Project

Project/Area Number 25350787
Research InstitutionRissho University

Principal Investigator

山地 啓司  立正大学, 法制研究所, 研究員 (50012571)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 鍋倉 賢治  筑波大学, 体育系, 教授 (60237584)
Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords単独走 / 複数走 / 心理的限界 / 生理的限界
Outline of Annual Research Achievements

平成25年度は陸上400mのトラックを用いて1,500mタイムトライアルを単独走と複数走で行った.複数走のタイムが単独走よりも約6秒有意に高いことが明らかになり、その原因が生理的運動能の発現ではなく心理的活性度(やる気)の高まりによることが明らかになった.26年度は気温や風速・風向等の気象条件あるいはペースの影響を除去するため、実験室内のトレッドミルを用いて単独走と複数走(被験者とパートナーとの併走)による一定スピード(vVO2max)での持続時間(テスト走)を比較することによって頑張るこころと頑張れるからだを比較検討した.その結果、複数走の持続時間が単独走よりも22秒(7.1%)長くなることが明らかになった.9名の中7名(79%)が単独走より複数走が長くなったが、両者間に有意な差(p>0.05)が認められなかった.さらに、単独走と複数走のAll-out時の生理的指標であるピーク酸素摂取量(peakVO2max)、最高心拍数(HRmax)、血中乳酸濃度(BLa)等や、心理的指標である主観的運動強度(RPE)、質問紙法(TDMS)による活性度(やる気)の前・後に有意な差(p>0.05)が同様に認められなかった.わずか、TDMSの安定度の中テスト後に両者間に負の有意な関係(r=-0.667)が認められた.すなわち、精神的に安定しないとは精神的にいらいらした落ち着かない状態を意味し精神的疲労が高まったことを示す.複数走の持続時間が単独走よりも長くなったことを考慮すると、精神的に静か落ち着いた状態ではないことから攻撃姿勢の高まりがパフォーマンスを高めたと推測される。従って、レース終盤の頑張るこころがパフォーマンスに大きく影響していると言える.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

25年度と26年度の研究結果は若干の差はあるが、1人で一生懸命頑張っても自ずから限界がある.それはヒトの中に存在するトリガー、すなわちからだを保護しようとする内制止が強く作用している.生理的限界に近づけるためには暗示、催眠、火事や地震などの緊急事態(火事場の馬鹿力)、びっくり反射、応援等々の外制止が強化される必要があるが、スポーツの場面では競争相手がお互いに競い合うことで(ライバル心の刺激)、すなわち、外制止の作用を高めることが結果的に内制止を弱め、複数走(わずか2人ではあるが)が単独走よりもパフォーマンスを向上させたと言える.生理的項目からは運動の持続を高める直接的な影響を証明するものはない.
本3年間の研究目的は「疲労困憊を決定する最終要因」が何であるかを追究することであるが、 “こころの頑張り”がパフォーマンスを高める大きな要因であることがこの2年間の研究で明らかになった.

Strategy for Future Research Activity

かつて、運動生理学の草分け的存在のイギリスのAV Hillは呼吸・循環機能に制限因子があるとみなし、それから70年余り不動の真理と受け入れられてきた.ところが最近、南アフリカのNoakesは走り始める時も終わる時もそれを命じるのは大脳であること、すなわち、ハートでなくマインドであることを指摘し、マインドが有力な制限因子とみなした.また、アメリカのウィスコンシン大学のデンプセイを中心とした研究グループは、レースの終盤に心拍出量や酸素摂取量がほぼ定常状態に近づいてからの肺換気量の著しい増加が活動筋である脚部への血流量や酸素供給量を減退させることが運動を制限するとみなした.
そこで、これまでの2年間の研究を踏まえて呼吸筋のトレーニングが運動終盤の活動筋への酸素供給を円滑にすると考え、意図的に呼吸抵抗を高めた呼吸筋のトレーニングを行うことによって.頑張れるからだを強化する必要性を痛感した.またこれまで、ランニングの距離は容易に定量化できたが、強度は主観に頼らざるを得なかった.幸い、GPSを搭載した腕時計式の心拍計が開発され、それを用いることによってトレーニング強度の定量化が可能になった.
そこで27年度は、頑張る力を高めるためにより高い強度の運動を多くしたトレーニングに加え、さらに呼吸筋の強化を図るトレーニングがパフォーマンスの改善に有効か否かを検証することにした.

Causes of Carryover

実験の開始が遅かった為に予定されていた被験者が集まらなかった。その主な理由は次の通りである。①被験者がマラソンに出場したため疲労がのこり実験に不都合が生じた ②長期の怪我が生じた。③検者は修士論文や学位論文を提出するため被験者と日程の都合が付かなかった。
いずれにしろ、実験の開始が遅かったことが大きな原因である。

Expenditure Plan for Carryover Budget

昨年の反省を踏まえて今年度は5月から実験を開始する。既に、実験計画は大学の倫理委員会で承認されている。特に、今年度は2大学と高校に被験者の依頼を行い承諾を得ている。また、全日本の代表の競歩のコーチから選手への強化のための指導を依頼されている。その機会を生かして補助的に実験を行う予定で現在交渉中である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2015 2014

All Journal Article (1 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 2 results)

  • [Journal Article] 呼吸筋の疲労とトレーニングが持久性のパフォーマンスへ与える影響2015

    • Author(s)
      山地啓司
    • Journal Title

      ランニング学研究

      Volume: 26 Pages: 未定

  • [Presentation] ランニング科学の温故知新2015

    • Author(s)
      山地啓司
    • Organizer
      ランニング学会
    • Place of Presentation
      日本女子体育大学
    • Year and Date
      2015-03-01
    • Invited
  • [Presentation] 最大酸素摂取量、心拍数および主観的運動強度を用いた運動強度の指標の可能性と限界2014

    • Author(s)
      山地啓司
    • Organizer
      日本運動整理学会
    • Place of Presentation
      川崎医療福祉大学
    • Year and Date
      2014-07-19
    • Invited

URL: 

Published: 2016-05-27  

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