2015 Fiscal Year Annual Research Report
ランニングの疲労困憊を決定する最終要因とそれを改善するトレーニング方法の究明
Project/Area Number |
25350787
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
山地 啓司 立正大学, 付置研究所, 研究員 (50012571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍋倉 賢治 筑波大学, 体育系, 教授 (60237584)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 呼吸筋トレーニング / 持久性能力 / 換気性作業閾値 / 口呼吸 / 呼吸効率 / 呼吸筋力 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度と平成26年度の実験結果を踏まえ、ランニングの疲労困憊を決定する因子が心臓を中心とした酸素運搬系にあると考えるよりは、むしろ呼吸器系にあるという見解に達した.その見解を確かなものにするために、まずこれまでの呼吸筋のトレーニングに関する研究をレビューした(運動生理学雑誌.22:22-40,2015.).その結果、制限因子として呼吸筋が重要なカギを握っていることを突き止めた.すなわち、運動強度をall-outまで高めていくとall-outに近づくにつれ、心拍出量(Q)や酸素摂取量(VO2)は徐々に定常状態に達するが、肺換気量(VE)は逆に指数関数的に上昇する.この時呼吸筋で使われる酸素は本来活動筋で使われるべき酸素が使われる.すなわち、活動筋で使われる相対的なVO2が減少することが運動を制限する、と考えられる. とするならば、呼吸筋をあらかじめトレーニングすること、1つは安静時の呼吸筋の最大筋力(最大吸気・呼気口腔内圧)を高めること、もう1つは高強度の運動中の呼吸効率(VE / VO2)を高めることによって、全身持久性の最大酸素摂取量(VO2max)やパフォーマンスを高められるのではないかと考えた.その事実を確かめるために、前者は競歩選手8名を対象に安静時にスパイロタイガーを用いて、後者はレクレーション的ランナー8名を対象にノーズクリップを装着して(口呼吸のみ)トレーニングを行った.その結果、前者では、VO2maxやパフォーマンスに改善が認められなかった.一方後者では、各被験者の換気性作業閾値(VT)よりも高いスピード(約VO2max 70~80%)で週3回、4週間のランニングトレーニングを行うことによって、VO2maxや持久性のパフォーマンスに有意な(p<0.05)な改善が認められた.その高まりが呼吸効率の改善によるものと推測できるものの、有意な改善するまでに至らなかった.
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