2013 Fiscal Year Research-status Report
サッカーにおける複数人協調戦術の計算モデル化とシミュレーション評価
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25350798
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
秋山 英久 福岡大学, 工学部, 助教 (20533201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 隆司 玉川大学, 工学部, 教授 (50143384)
山田 信幸 玉川大学, 教育学部, 准教授 (70245968)
渡邊 紀文 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 助教 (30534721)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | サッカー / シミュレーション / 行動モデル |
Research Abstract |
本年度は、人間サッカーの実試合データの分析、および、サッカーにおける戦術的行動モデル構築について検討を進めた。 まず、人間サッカーの試合を記録したログを数値実験で扱いやすくするために、データの整備を行った。実試合データには試合の様子を撮影した動画情報と共に、各選手やボールの位置情報を記録したトラッキングデータが含まれる。トラッキングデータには大量のノイズや物体の誤対応が含まれており、それらを自動的に修正するのは困難である。そこで、実試合データをより人間が扱いやすくするためのトラッキングデータ可視化ツールを開発した。記録されたデータからのノイズ除去を行った上で、人間の動き、特に走行能力に関して、実データからの運動モデルの構築を試みた。この結果を用いることで、より妥当なシミュレーション環境の実現が期待できる。 戦術的行動モデル構築の取り組みとして、パス行動とポジショニング行動のモデル構築を進めた。パス行動に関しては、実試合データに含まれるパス行動データを用いることで、ワンツーパスやパスレシーバ選択のモデル構築を試みた。特に、パスレシーバ選択モデルでは、パス行動が実行される状況を一般化したモデルを構築した上で、ロジスティック回帰を用いることでパラメータ学習を行った。その結果、9割以上の精度で実際のパス行動を予測することができた。ポジショニング行動に関しては、クラスタリングを用いて各選手の配置を予測する手法の研究を行った。選手個々の意思決定に用いることが出来る精度はまだ得られていないものの、チーム陣形を推定できる程度の結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
人間サッカーデータの分析手法の開発に関して、データビューワの開発、数値実験で用いるためのデータ整備と分析を行った。トラッキングデータに含まれるノイズが想像以上に大きく、また、期待していた情報(選手の視線や体の向き)が含まれていなかった。そこで、これらを整備する作業を重点的に進めた。開発したトラッキングデータ可視化ツールを用いることで、映像データと合わせたトラッキングデータの俯瞰的な観察と編集が可能となった。これによって、映像データの観察によって得られた選手の視線や体の向きを、トラッキングデータと合わせて用いることができるようになっている。現時点では、パスシーンを抽出するためのユーザインタフェースを備えているが、選手の様々な行動のタグ付けを行う機能は開発途中である。データの整備作業を重点的に進めたため、事例データベースの作成には至っていない。 守備的行動のモデル構築の一環として、未知のチーム内の選手配置を推定する研究を行った。配置推定を実現するために、RoboCupサッカーシミュレーションにおいて広く用いられている三角形分割を用いたポジショニングモデルとクラスタリングを組み合わせた手法を検討した。状況に応じた各選手の配置を推定することはできたものの、本年度の実験では充分な推定精度はまだ得られていない。また、人間サッカーデータの整備に時間がかかったため、配置推定の実験には過去のRoboCupサッカーシミュレーション競技会の試合ログを用いるに留まった。一方で、パスレシーバ選択モデルに特化したモデル構築では、9割以上の精度で実際のパス行動を予測することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
人間サッカーデータの整備を今後も続ける。具体的には、トラッキングデータ可視化ツールの機能拡張によって、戦術的行動のタグ付け作業を行う。当初予定したとおり、三人目以降の攻撃選手が走りこむ行動を抽出し、それが集団の協調行動として意図して実行されたものであれば戦術的行動としてタグ付けする。さらに、今後の数値実験での再利用性を高めるために、抽出された戦術的行動のデータベース化を進める。 守備的行動のモデル構築として、選手の配置推定の精度向上を図る。具体的には、RoboCupサッカーシミュレータによる試合を多数実行することでログデータを蓄積し、数値実験を行う。推定精度の向上が実現されれば、人間サッカーデータでも有効性を検証する。さらに、前述の戦術的行動のデータ蓄積、および、守備的行動モデルの改善に合わせて、守備の隙間へ走りこむ三人目の攻撃側選手の行動モデルに関する研究を行う。 本年度得られたパス行動モデルをRoboCupサッカーシミュレータのエージェントプログラム上へ実装し、人間サッカーとシミュレーションとのずれを検証しモデルを評価する。評価結果をモデル構築作業へフィードバックすることでモデルの改良を繰り返す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初は本年度中のシミュレーション実験用計算機の購入を予定していた。しかしながら、次年度において予定している海外出張にかかる経費が当初の想定以上に高額となり、また、人間サッカーデータの整備作業に予定よりも時間がかかったため、次年度の海外出張経費の確定後に計算機を購入することとした。 次年度の海外出張経費の確定後に計算機を購入する。これ以外は当初予定から大きな変更は無い。
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Research Products
(7 results)