2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25350812
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
永峰 康一郎 名古屋大学, 情報科学研究科, 准教授 (10242843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 浩司 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (50193321)
片山 敬章 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (40343214)
近藤 孝晴 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (20135388)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生体ガス / エネルギー代謝 / アセトン / 運動負荷実験 |
Research Abstract |
本研究では運動による呼気中アセトン濃度の変動要因を明らかにするために、被験者を用いた運動負荷実験を実施し、呼気中アセトンとともに血液成分の時間変動を測定して比較、検討を行った。 その結果、呼気中アセトン濃度は運動開始75分後から有意な増加が始まった。この運動開始とアセトン濃度増加開始とのタイムラグについては、血液成分の変動より、遊離脂肪酸分解からケトン体が生成されるまでと、ケトン体生成から呼気を通して排出までの2つのプロセスの間のタイムラグが要因であることが示唆された。また呼気中アセトン濃度の有意な増加については、運動実施時間の90分よりも大幅に長い255分以上継続した。これは運動前の絶食による体内での糖質不足が、運動後のケトン体生成を促進したことが要因だと考えられた。運動を行わず絶食を継続した対照実験を実施したところ、運動終了後120分と同じ時間帯に体内でのケトン体生成量が増えたことからも、絶食のみによってアセトン排出量は増えることが考えられた。一方男女間の呼気中アセトン濃度変動の比較では、女性だけが運動実施時間内から有意な増加が認められた。そして運動中も男性より有意に高い値を示した。これは、心拍出量の違いによる体内を流れる血液量の違いが要因だと推察された。 本研究では血液成分の変動を調べることで、呼気中アセトン濃度に変動をもたらす体内での要因について検討することができた。その結果、実際に脂肪分解と呼気中アセトン濃度はある程度関係があり、呼気中アセトン濃度が脂肪分解の指標として使える可能性を示した。一方で、被験者によっては脂肪が遊離脂肪酸へと分解されたにも関わらず、呼気中アセトン濃度があまり増加しないという結果も出てきた。そのため、呼気中アセトン濃度の脂肪分解代謝の指標としての汎用性については課題が残された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究以前の予備実験の結果を踏まえた平成25年度の研究実施計画の柱は2つあり、一つは呼気中アセトン濃度測定においてオートサンプラー導入による測定の効率化を図ることと、もう一つは血液成分測定を新たに実施することで体内の脂肪分解からアセトン排出までのプロセスを明らかにすることであった。このうち後者については実現できたが、前者については室温よりも高温の環境でオートサンプラーを安定的に稼働できずに導入を見送ったため、この点に遅れが生じることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず遅れているオートサンプラーを開発し、呼気中アセトン濃度測定の効率化を図り、運動負荷実験結果の蓄積を更に進める。 昨年度は運動種目として自転車エルゴメーターのみを実施した。本研究以前に行った予備実験では、自転車運動の他にトレッドミルを用いた速歩運動を実施して呼気中アセトン濃度変動を比較したところ、速歩運動の方がより呼気中アセトン濃度が増加したという結果が得られている。そこで今年度はトレッドミルを導入して運動種目に速歩を加えて運動負荷実験を実施し、異なる運動種目間での呼気中アセトン濃度と血液成分の変動を比較・検討も行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
呼気ガス中アセトン濃度測定の効率化を図るために呼気ガス試料を自動的にガスクロマトグラフへ注入するオートサンプラーの導入を当初計画していた。このオートサンプラーは温泉ガス自動分析用のものを転用する予定であったが、温泉ガスと異なりアセトンは沸点が高く試料通過経路を60度以上に保つ必要があり、検討を行ったところこの改造が容易でないことが判明した。改造よりもまず血液成分の測定を取り入れた運動負荷実験を優先させたため、オートサンプラーの導入については次年度以降に見送ることとした。 当該年度の実験結果により今後の運動負荷実験の方向性について目処が立ったため、次年度使用額を活用してオートサンプラーの改造に着手する。また改造で対処できない場合は、予算範囲内で新規のものを導入することを計画している。
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Research Products
(1 results)