2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25350812
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
永峰 康一郎 名古屋大学, 情報科学研究科, 准教授 (10242843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 浩司 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (50193321)
片山 敬章 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (40343214)
近藤 孝晴 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (20135388)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生体ガス / エネルギー代謝 / アセトン / 運動負荷実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は運動による呼気中アセトン濃度の変動要因を明らかにするために、被験者を用いた運動負荷実験を実施し、呼気中アセトンとともに血液成分の時間変動を測定して比較、検討を行うものである。 この運動負荷実験について、当初の研究実施計画では、平成26年度に運動種目の違い(自転車と速歩)による呼気中アセトン濃度の変化を比較し、平成27年度に呼気中アセトン濃度に対する運動以外の要因として食事の影響を評価する予定であった。しかしながら、平成26年度は設備の都合上、異なる運動種目の比較が実施できなかったため、代わりに食事の影響の評価を前倒しで実施した。 この評価の内容は、これまで運動の前に半日程度、そして運動の後も数時間程度絶食状態で運動負荷実験を行っていたが、より身近な条件でのデータを得るため、運動の前にカロリーの決まった食事を与え、そして運動の後に様々な栄養成分の食事を与えて、運動前後の呼気中アセトン濃度および血液成分濃度の変化を比較した。その結果、これまでの運動後に食事を与えない場合(絶食条件)では運動中から運動後しばらくアセトン濃度は増加し続けた。これに対して、運動後に脂質の食物を与えた場合、絶食条件よりさらにアセトン濃度が増加した。一方、糖質、タンパク質あるいは総合質の食物を与えた場合、いずれも絶食条件よりアセトン濃度の増加が低下した。これらの原因として、脂質は小腸から直接肝臓へ運ばれてアセトン生成を促進し、一方その他の食事は含まれる糖質がアセトン生成を抑制したためと考えられる。 また平成25年度実施予定で遅れていたオートサンプラー導入については、平成26年度に引き続き検討を行い、装置の完成とテスト分析を行ったが、手動操作による呼気ガス試料注入と比べて再現性がさほど向上せず、効果が十分認められなかったので、本研究での導入は見送ることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に予定していた運動種目の違い(自転車と速歩)による呼気中アセトン濃度の変化の比較は実施できなかったが、代わりに平成27年度に予定していた呼気中アセトン濃度に対する食事の影響について成果を得ることができたため。 平成25年度に実施を計画していたオートサンプラーの導入については、平成26年度も引き続き検討を行った。その結果、現有のシステムでは再現性の向上について、当初期待していたほど認められなかったため本研究での導入を見送った。なおオートサンプラーを導入しなくても呼気中アセトン濃度の分析は可能なため、今後の研究計画の遂行にほとんど影響はない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは運動負荷実験の運動種目として、自転車エルゴメーターのみを用いてきた。これは被験者毎の運動強度を決定するための最大酸素摂取量の測定を自転車エルゴメーターを用いて行っているためである。本研究以前に行った予備実験では、自転車運動の他にトレッドミルを用いた速歩運動を実施して呼気中アセトン濃度変動を比較したところ、速歩運動の方がより呼気中アセトン濃度が増加したという結果が得られている。また一般的に自転車運動よりも速歩運動の方が器具が不要で実施しやすい。 そこで平成27年度は、心拍数などに着目して自転車運動と速歩運動の運動強度の統一を図った上で、速歩運動についても運動負荷実験を実施し、呼気中アセトンと血液成分の濃度変化を評価する計画である。 以上を含め、研究期間全体で得られた結果を総合的に検討し、呼気中アセトン濃度が脂質代謝の簡便な指標として有効であるかどうか検証する。また平成27年度には、これまで発表してきた国内学会(11月・名古屋)に加え、国際学会(9月・ウィーン)でも成果を発表し、国内外の研究者と議論を行うことでより考察を深めていく計画である。これらの成果については、国際学会誌および国内学会誌に印刷公表する予定である。
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Causes of Carryover |
運動負荷実験内容について、平成26年度計画分と平成27年度計画分を入れ替えて実施したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は平成26年度に計画していた運動負荷実験を実施する予定なので、最終的に当初の予算を満額執行できる見込みである。
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Research Products
(3 results)