2015 Fiscal Year Annual Research Report
低エネルギーストレスとメカニカルストレスに対する骨格筋の適応機序の解明
Project/Area Number |
25350813
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
中井 直也 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (90324508)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メカニカルストレス / タンパク質合成 / 骨格筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、骨格筋培養細胞の収縮モデルを用いて細胞内低エネルギーストレスおよびメカニカルストレスに対する反応を解析した。 研究の最終年度では電気刺激による収縮をC2C12筋管細胞に負荷し、タンパク質合成促進シグナルに及ぼす影響を解析した。低頻度長時間の刺激(1Hz, 15V, 3 ms duration)を2時間もしくは24時間行ったが、タンパク質合成促進作用の指標となるp70 S6 kinase (p70S6K)のリン酸化には変化は認められなかった。また、2時間の低頻度刺激後に骨格筋に強縮を起こす頻度である50 Hzの刺激を30分負荷した場合でも、p70S6Kのリン酸化には変動がなかった。一方、24時間の低頻度刺激後にグルコースおよび分岐鎖アミノ酸ロイシンを添加すると、電気刺激の有無に関わらず、p70S6Kのリン酸化が有意に上昇した。ロイシンのみの添加ではリン酸化は上昇しなかった。培地中のグルコース濃度を測定したところ、培地交換時には100 mg/dlであったが、24時間後には大きく(~10 mg/dl)低下していた。以上の結果より、グルコースが枯渇した条件では、ロイシンおよび電気刺激誘導性のメカニカルストレスによるタンパク質合成促進シグナルは上昇しないことが明らかとなった。 昨年度までの研究により受動的な伸展刺激後にロイシンを添加するとタンパク質合成促進シグナルが上昇することを報告している。そこで、伸展刺激の影響をDNAマイクロアレイで解析した。伸展刺激を4時間行うと約4万遺伝子のうち、773の遺伝子発現が2倍以上増加し、1948の遺伝子が2倍以上低下した。発現が増加した遺伝子のうち110遺伝子は刺激終了4時間後も上昇を維持していた。今後、これらの遺伝子の機能を解析し、メカニカルストレスが骨格筋に及ぼす影響を明らかにして行きたい。
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