2014 Fiscal Year Research-status Report
柔道における頭部外傷発生メカニズムの解析と効果的予防対策の確立
Project/Area Number |
25350821
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
村山 晴夫 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (20570542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 勝弘 山梨大学, 総合研究部, 教授 (30313779)
一杉 正仁 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90328352)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 頭部外傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,柔道の投げ技にて,投げられた際に生じる頭部衝撃力を定量的に評価し,受け身(衝撃を緩衝させる動作)が遂行できない状況での頭部外傷発生機序について解明することである.その際,自動車衝突試験にて頻用されているダミーを用い,自動車の安全対策分野で確立された方法論を応用することで,安全対策の根拠となる基礎的知見を得ることを目的としている. 前年(平成25年)度は自動車衝突試験用ダミーを用いて柔道の投技で投げられた際の頭部衝撃力について解析を進め,さらに柔道で重症外傷をもたらしている頸部傷害の発生メカニズムについても検討するべく頸部荷重量を測定した.その結果「背負投」では頸部における重症損傷を負う可能性があることがわかった.そして,平成26年度は当初の予定通り,「人(柔道熟練者)」での頭部衝撃力を測定する実験を行った.対象施技は「大外刈」「大内刈」「背負投」「体落」の4つとした.その結果,頭部打撲が生じることなく,受け身技術を駆使することで,大きく頭部衝撃力を低減させることが客観的に明らかにすることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度実施の自動車衝突試験用ダミーを用いた頭部加速度測定の結果に対比させるべく,平成26年度は「人」による頭部打撲が生じない状況下での頭部加速度等の測定実験を滞りなく実施できた.すなわち,通常の柔道練習で展開されている投げ技により投げられたことで生じうる頭部への衝撃力を明らかにすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
柔道で生じる重症頭部外傷の発生メカニズムを解明するため,ダミーを用い直接的頭部打撲がともなう状況下での頭部衝撃力を明らかにしてきた.さらに「人」にて通常の柔道練習時で行われている頭部打撲を伴わない投技を想定した状況下での頭部衝撃力測定も行い検討を重ねてきている. 今後はこれまでの研究成果を精査し,次なる実験実施に向けた詳細部分(ダミー使用による実験方法の可能性詮索)を詰めていきながら高度かつ良質な実験遂行の実現を目指す.
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Causes of Carryover |
平成25年度に購入予定であった人体に装着できる加速度計機器一式を購入することができた.また研究協力者等への謝金,人件費が予定よりも支出が少なかったこともあり,若干の残額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究結果について,国際学会での発表が決定しており,それに係わる旅費等の支出が生じる.さらには,平成27年度に実験で使用する機材購入も予定している.
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