2013 Fiscal Year Research-status Report
筋損傷後の筋硬度とelastography法による筋弾性特性の関係
Project/Area Number |
25350822
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
村山 光義 慶應義塾大学, 体育研究所, 教授 (20245632)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 筋硬度 / elastography / 筋硬度計 / 筋弾性率 / 筋損傷 |
Research Abstract |
本研究は、筋硬度変化から筋機能を評価するために、従来の押し込み法による筋硬度評価と近年研究が始まった超音波画像診断によるelastography法による筋弾性評価を比較し、筋硬度計測の妥当性を検討する。筋機能変化として安静時、筋収縮時、筋疲労及び回復過程等の条件変化を加える計画であるが、特に筋損傷実験の世界的研究者であるEdith Cowan大学の野坂和則氏を研究協力者に迎え、筋損傷実験前後の比較から検討をすることが最大のねらいとなる。そのため、研究代表者が従来から検討を重ねている、押し込み量が大きな独自の据置型筋硬度計測装置を同大学に持ち込み、現地からelastographyの他、筋損傷実験システムの提供等を受けて行うものである。 上記を踏まえ、平成25年度は、まず野坂氏との連携準備・現地での計画打合せを進めた。また現地での計測法比較に先立ち、国内において押し込み法に関して据置型と簡易型筋硬度計との安静時比較を行った。生体模擬物質(ゼリー様の弾性体および皮革)を用い、筋・皮下組織・皮膚の層構造をモデルし、押圧から筋硬度を推定する精度を比較したところ、深部の筋硬度評価において据置型の優位性が認められた。しかし、模擬物質の弾性率に対し計算値が過大評価となる結果が得られた。この点については、皮膚を模擬した皮革の特性が影響する可能性があり、elastography法との比較検討課題が浮き彫りとなった。 これを受け、現地において押し込み法とelastography法の比較として、安静時の検討を行った。その結果、両者の筋弾性率の計算には開きがあることが示された。ただしelastography法においては、弾性率が既知の基準物質との相対的関係をソフトウェアから計算する過程において、さらに検討が必要なことも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は、まず研究協力者の野坂氏と3年間の実験計画およびオーストラリア・Edith Cowan大学での実験スケジュール等について打ち合わせを行った。その他、データ検討の具体的内容としては、押し込み法とElastography法の計測値の比較について基礎的検討を行う予定であった。これに対し、3年間での研究達成範囲について現実的な検討を行い、計画の修正など再計画を練り上げた。その上で、オーストラリア・Edith Cowan大学に赴き、研究代表者の据置型の押圧筋硬度計と現地のElastographyによる計測を行った。しかし、Elastographyにおいて弾性率が既知の基準物質を用いて相対的に弾性率を計算する上で、ソフトウエアの仕様に不十分な部分があり、押圧筋硬度計との比較検討に課題が残った。この点は、ソフトウェアの改善を済ませ、次年度早々に再度現地にて基礎的検討を追試する予定である。この基礎検討をふまえ、次年度の計画を新たに進める計画のため、平成25年度の達成度としては十分とは言えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の諸般の状況を受け、今後の研究計画は研究協力者と協議済みである。まず、研究代表者および研究協力者の研究エフォートを考慮し、現実的な計画で研究を推進することを確認した。次に、本研究の最終的なねらいは筋損傷前後の押圧筋硬度計測とelastography法の検討であるが、この実験に際しては回復過程の追跡が必要となり、一定の日数を要するため、平成27年度の夏季休業を利用し集中的に行う。その準備として、平成26年度は、前年度の基礎検討不足を補うとともに、筋機能変化の条件として「筋収縮中」の筋硬度並びに筋弾性率の対応関係を押さえる実験を主に行う。これは2週間程度の滞在期間で集中的に実施する。また、この実験構築により、次年度の筋損傷実験システム構築も容易となるようシミュレーションを行う。さらに、研究代表者は、平成26年度のデータを押圧筋硬度計とElastographyの比較研究のベースとして論文投稿の準備を進める。これは、最終的な筋損傷実験における筋硬度と筋弾性率、さらに筋stiffnessと筋のhardnessの関係を知る上の基準となり、大きな筋機能低下時に硬度や弾性率がどのように指標化できるか、という点に繋がると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画では、海外渡航の旅費の占める割合が多く、消耗品・その他の経費などの見通しを小さくしてあった。しかし、渡航日数が十分に取れず、旅費の費用が予定より少額となった。その中で、海外輸送費等のその他の経費が予定以上に生じたが、年度内に必要な経費はすべて賄うことができた。結果的に少額を残すこととなった。 次年度は機器の改良等を計画しており、物品費への流用を再調整する。そのため残額を次年度使用額として活用する。
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Research Products
(2 results)