2014 Fiscal Year Research-status Report
筋損傷後の筋硬度とelastography法による筋弾性特性の関係
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25350822
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
村山 光義 慶應義塾大学, 体育研究所, 教授 (20245632)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 筋硬度 / Elastography / 筋硬度計 / 筋弾性率 / 筋損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、研究代表者が従来から検討を重ねてきた、押し込み量が大きな独自の据置型筋硬度計測装置(Pressure Meter: 以下PM)と超音波画像診断によるReal-time Tissue Elastography(以下 RTE)による筋硬度評価を詳細に比較検討する。RTEについては研究協力者の野坂和則氏のEdith Cowan大学から提供を受け、同大学にPMを持ち込み実験を進めている。 筋硬度変化から筋機能を評価するために、安静時、筋収縮時、筋疲労及び回復過程等の条件を設定する。このうち、平成26年度は、上腕二頭筋を対象に安静状態および筋収縮時のPMとRTEの比較実験を行った。安静状態の計測は、左右各3点の計測点を設定し21名を対象にデータを収集することが出来た。この結果、PMで計測された弾性率とRTEで得られたひずみ率(Strain Ratio :SR)にはべき乗関数で回帰可能な曲線関係が得られた。しかし決定係数は0.5程度で、SRとPMの弾性率間の推定精度は低かった。従って、PMとRTEの硬さ評価は異なる意味を持つ可能性がある。 一方、筋収縮においては最大随意収縮力(MVC)の15,30,45,60,75,90%を肘関節角度90,60,30度(最大伸展0度)の条件で16名を対象に比較を行った。MVCレベルの上昇とともにPM,RTEいずれも筋硬度の増加傾向が観察されたが、RTEのSRはMVC45%から60%でひずみ率が下限に達する例が多かった。一方、PMもその上昇率はMVC60%以降やや低くなるものの硬度の値は増加を示した。ここでも、両者の硬さ評価には不一致があり、同じ筋の特性を検出しているわけではないと考えられた。関節角度別の特徴については現在詳細な検討を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度において、研究協力者の野坂氏とともにEdith Cowan大学での実験の実際とそのスケジュール等について現実的な検討を行い、計画の修正など再計画を練り上げた。平成26年度は、まずRTEの計測における諸問題がクリアされ、安静状態と筋収縮条件の計測を行うことが出来た。しかし、その成果の公表・論文作成のための検討・打ち合わせが遅れている。E-mailでの検討に加え、野坂氏の来日に合わせた検討の機会を持ったが、研究代表者の研究エフォートが当該年度まで特に低い状況も重なったことが原因であった。平成27年度はエフォート率上昇の見込みであり、遅れを取り戻すべく取り組む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
3年間の計画について、研究代表者および研究協力者の研究エフォートを考慮し、現実的な内容に修正した上で、実験計画は最終段階の筋損傷前後の筋硬度評価を残すところとなった。この実験に際しては回復過程の追跡が必要となり、一定の日数を要するため、平成27年度の夏季休業を利用し4週間集中的に行う。また、この実験に際し、RTE計測の専属者として早稲田大学の稲見崇孝氏を研究協力者に加え、この実験に同行してもらうこととなった。これにより、計測の精度およびデータ処理などの効率が大幅に上昇する見込みである。また、5月中には研究倫理審査をEdith Cowan大学に提出し、実験への協力者を早期募集する計画であり、十分なデータ量を確保するように努める。 これと平行し、平成26年度の安静時および筋収縮時のPMとRTEの比較研究の論文投稿を早急に進める。この投稿過程の審査を基礎に、最終的な筋損傷実験においては損傷筋が呈する筋stiffnessの変化とPMやRTEによる筋のhardnessの関係を検討する。これにより、PMとRTEの一致および違いから浮き彫りとなる筋機能変化の非侵襲的検出の可能性、大きな筋機能低下時に硬度や弾性率がどのように指標化できるか、という点の解明に繋がると考えている。
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Causes of Carryover |
研究計画では、海外渡航費・滞在費などの旅費の比率を高く設定してあったが、前年度の予備実験の結果、機器備品費が新たに必要となり、支出計画を変更した。しかし、さらにEdith Cowan大学での実験日程が十分取れず、旅費が予定より少額となった。しかし、年度内に必要な経費はすべて補うことが出来た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は最終年度として、4週間にわたる実験を計画しており、残額は旅費等の補填として加える。
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Research Products
(5 results)