2013 Fiscal Year Research-status Report
プロテオームによる唾液中のストレスマーカータンパク質の探索
Project/Area Number |
25350824
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
大城 聰 大東文化大学, スポーツ健康科学部, 教授 (30160485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蕪木 智子 大東文化大学, スポーツ健康科学部, 講師 (40339479)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プロテオーム / 唾液タンパク質 / 精神ストレス / 肉体ストレス / ストレスマーカー |
Research Abstract |
平成25年度は先ずモデル実験動物の唾液採取方法について検討した。先行研究では唾液採取法として齧歯類を用いた場合、ストレス負荷後ケタミンで麻酔し、唾液促進剤ピロカルピンを用いて唾液採取を行い、唾液は唾液腺、耳下腺、舌下腺から唾液を採取し、質量分析計で解析を行っている。本実験では、実験動物としてウィスターラットを用い、上記の実験系を採用したが麻酔と唾液促進剤の二重投与は実験動物のダメージが大きく致死に陥る個体も観察されたり、また各分泌器官からの唾液が相互にコンタミネーションする可能性等が考えられた。今回の精神ストレス負荷の水深拘束の条件は体重が10%減少し、小胞体(ER)ストレスが認められない3日間、水深拘束し無麻酔、無固定で、各唾液腺が集まる口腔内唾液をヒト唾液採取用脱脂綿にて吸収し、遠心分離によって唾液を回収し、プロテオームの分子量測定用のサンプルとした。また、同様に対象ラットの唾液も採取し、プロテオーム解析用のサンプルとした。 唾液タンパク質の分離はゲル濃度10%SDS-PAGEを一次元電気泳動し、泳動後のタンパク質サンプルは25KDa以下、25-75KDa、75KDa以上の3グループに分けて、インジェル消化を行った後、高速液体クロマトグラフィによってペプチド断片を分離し、溶出したペプチドは2台のタンデム質量分析装置(MS)によってそれぞれペプチドイオンに分離後、2台目MSでペプチドフラグメントに分解し、そのパターンから配列を決定する方法等で現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先行研究の唾液採取法を参考にして実施したが、ストレス負荷後、麻酔薬ケタミン及び唾液促進剤ピロカルピンを用いて唾液採取を行ったが麻酔と唾液分泌促進剤の二重投与は実験動物のダメージが大きく致死に陥る個体も観察され、また唾液の採取量も不十分で困難を極めた。改良を重ねた結果、水深拘束後に、無麻酔、無固定で各唾液腺が集まる口腔内唾液をヒト唾液採取用脱脂綿にて吸収し、遠心分離によって唾液を回収し、プロテオームの分子量測定用のサンプルとしたが、この方法に辿り着くまでにかなりの時間を要した。また、他の研究課題の共同研究者を研究協力者としたが、研究時間の確保が困難になり、今回協力することになった他の研究協力者との交渉にも時間を要した点も当初の予定通り進まなかった一因である。
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Strategy for Future Research Activity |
ストレスは、精神ストレスを優先し、水深拘束を精神ストレスとして負荷後に唾液採取を実施しているが、ストレスマーカーをプロテオーム解析によって特定できたならば、ストレスホルモンが肉体ストレス負荷後に唾液を採取し、プロテオーム解析によって、動物モデルを用いた精神ストレスの唾液マーカータンパク質の候補を同定できたならば、肉体ストレス負荷で刺激したモデル動物についても、刺激後に唾液採取し、唾液タンパク質の解析を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験動物の唾液採取の決定に時間を要し、また前研究協力者の本研究へ協力が難しく、他の研究協力者への依頼にも時間を要した為、プロテオーム解析サンプルの準備が結果的に遅れてしまい、プロテオーム解析の依頼費用や物品費用等の予算執行が当初予定を下回ってしまった。 現在精神ストレス負荷の条件及び唾液採取法を決定し、当初より遅れていた唾液マーカータンパク質候補の解析を検討中である。精神ストレス負荷の唾液タンパク質のマーカーが同定できたならば、次に肉体ストレス負荷の唾液タンパク質の解析に着手し、次年度生じた予算をこの実験計画に使用予定である。
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