2013 Fiscal Year Research-status Report
グルココルチコイドは高強度運動による海馬での神経新生の増加を引き起こす要因か否か
Project/Area Number |
25350825
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
三上 俊夫 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60199966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 成男 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00125832)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 運動 / 神経新生 / グルココルチコイド / ミフェフリストン / 海馬 / 神経由来栄養因子 |
Research Abstract |
[目的] これまで申請者の先行研究結果より、高強度運動の12、24、48 時間後には海馬の神経新生とBrain-derived neurotrophic factor (BDNF)発現が有意に増加することが明らかになっている( Lee, in press)。この結果を踏まえて、今年度は高強度運動後の海馬の神経新生に対してグルココルチコイドが関与しているか否かについて検討した。[実験条件] ICR 雄マウスに1週間のトレッドミル慣らし走(トレッドミル速度10 m/分、1 日10 分間、5 日間)を行わせた後、これらのマウスを(1) グルココルチコイド受容体(Glucocorticoid Receptor: GR)拮抗薬(Mifepristone)、(2) ビークル、(3) GR 拮抗薬+運動、(4) ビークル+運動の4 群に分けた。各群マウスにGR拮抗剤を腹腔内投与し、( 3 )と( 4 )群のマウスには投与30分後に高強度のトレッドミル走を負荷した。運動直後にBromodeoxyuridine (BrdU)を腹腔内投与して運動24時間後に麻酔下で心臓から生理食塩水を灌流して脱血した後に解剖して脳を採取した。(1)と(2)群のマウスも同じ時間帯で解剖して脳を採取した。採取した脳をパラホルムアルデヒドで固定後、抗BrdU抗体を用いた免疫組織染色法により海馬歯状回のBrdU陽性細胞を測定した。[結果] 運動後24時間後の海馬のBrdU陽性細胞数は1回の高強度運動負荷により増加し、この増加は運動前のGR拮抗剤投与により消去される傾向がみられた。しかしこの結果より、1回の高強度運動により引き起こされる海馬での神経細胞の増殖には運動により増加するグルココルチコイドが関係している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書の計画では薬物の投与は脳内投与で行う予定であったが、脳内投与をするための予備実験で脳内投与を行う実験手法が不完全な状態であったため、投与方法を腹腔内投与に切り替えて行っている。現状では腹腔内投与でも予想される結果が得られているが、薬物の海馬への直接的な効果を得るには脳内投与が望ましいので、今後、脳内投与により実験が行えるように、更に検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の結果を踏まえて平成26 年度は神経新生の増加をもたらす因子であるBDNF について、BDNF mRNA 発現およびBDNF mRNA 発現の増加をもたらすBDNF プロモーターのエピジェネテックな変化に対しトレッドミ慣らし走を行わせたマウスを( 1 )GR 拮抗薬、( 2 )ビークル、( 3 )GR 拮抗薬+運動、( 4 )ビークル+運動の4 群に分ける。これらのマウスに平成25 年度と同様のプロトコールで薬剤投与と運動負荷を行い、運動後の24時間後に麻酔下で脳を取り出し海馬を採取して液体窒素で凍結して-80℃で保存する。凍結保存した海馬サンプルから市販のRNA 抽出キットを用いてRNA を抽出する。抽出したRNA から逆転写酵素を用いてcDNA を合成し、このcDNA を用いてリアルタイムPCR 法を用いてBDNF mRNA の定量を行う。BDNF mRNA の発現の増減はBDNF プロモーターのエピジェネテックな変化により調節されるため、DNA を抽出してクロマチン免疫沈降法によりアセチル化ヒストンに結合したBDNF プロモーター量を定量する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験サンプルの分析に必要な化学発光検出装置が故障し、修理不可能な状況になったため、この装置を平成26年度の科学研究費予算で購入することを計画し、実験に使用する予算の利用を控えたため。 上記の記載した化学発光検出器を平成26年度の予算で購入する予定である。
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