2014 Fiscal Year Research-status Report
グルココルチコイドは高強度運動による海馬での神経新生の増加を引き起こす要因か否か
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25350825
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
三上 俊夫 日本医科大学, 医学部, 准教授 (60199966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 成男 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00125832)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 運動 / グルココルチコイド / 受容体 / ミフェプリストン / 海馬 / 神経新生 / 脳由来神経栄養因子 / mRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
[目的] 昨年度の研究結果より,高強度運動の30分後にグルココルチコイド受容体の拮抗剤であるmifepristoneを腹腔内投与すると,本来,高強度運動の翌日に観察される海馬での神経新生の増加が消失した。この結果より,一回の高強度運動後に生ずる海馬での神経新生の増加には運動により増加するグルココルチコイドが関係することが明らかになった.神経新生の増加をもたらす要因としては海馬の脳由来神経栄養因子(Brain-derived neurotrophic factor:BDNF)が知られている.そこで,本年度は高強度運動後の海馬での神経新生の増加にBDNFが関係しているか否かについて検討した. [実験条件] ICR 雄マウスを(1)グルココルチコイド受容体(Glucocorticoid Receptor:GR)拮抗薬(Mifepristone),(2)vehicle,(3)GR拮抗薬+運動、(4)vehicle+運動の4 群に分けた.(3)と(4)群のマウスにはvehicle またはGR拮抗剤を腹腔内投与し,その後,疲労困憊に至るトレッドミル走を負荷した. (1)と(2)群のマウスもvehicle またはGR拮抗剤を腹腔内投与した.全群マウスとも薬剤投与24時間後にマウスを断頭して海馬を採取し,海馬から市販のRNA 抽出キットを用いてRNA を抽出し,抽出したRNA用いてリアルタイムPCR 法にてBDNF mRNA の定量を行った. [結果] 運動後24時間後の海馬のBDNF mRNAは1回の高強度運動負荷により増加し,この増加は運動前のGR拮抗剤投与により消去される傾向がみられたが,薬剤投与による有意な差は認めらなかった.この結果より,1回の高強度運動により引き起こされる海馬でのBDNF mRNAの増加にグルココルチコイドが関係している可能性は認められなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度,一回の高強度運動による海馬での神経新生の増加に伴い海馬でのBDNF mRNAが増加して,その増加がグルココルチコイド受容体を阻害することにより抑制される結果を期待した.しかし,結果は予想とは異なるものであった.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度,一回の高強度運動による海馬での神経新生の増加に伴い海馬でのBDNF mRNAが増加して,その増加がグルココルチコイド受容体を阻害することにより抑制される結果を期待した.しかし,結果は予想とは異なるものであった.この原因の一つにBDNF mRNAを測定した運動後の時間が問題であった可能性が考えられる.そこで,今年度は運動後にBDNF mRNAを測定する時間帯を運動直後~運動後24時間の間での幾つかの時間でBDNF mRNAを測定することを試みる.そして, BDNF mRNAの期待されうる変化の認められた時間帯でのBDNF 発現のエピジェネティクな調節機構について検討する.
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Causes of Carryover |
本件研究に用いる予定の分析機材であるPCR装置が壊れてしまっため,その購入に未使用予算を充当するために平成26年度の予算の使用を控えた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度の繰り越し金と平成27年度の配当予算を利用してPCR装置を購入予定である.
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