2014 Fiscal Year Research-status Report
運動による骨格筋と脳のモノカルボン酸輸送担体発現効果を高めるシグナル因子の解明
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25350831
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Research Institution | Osaka University of Health and Sport Sciences |
Principal Investigator |
浜田 拓 大阪体育大学, 体育学部, 教授 (00466294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 達也 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (00314211)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | モノカルボン酸輸送担体 / 骨格筋 / 脳 / 乳酸 / シグナル因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、モノカルボン酸輸送担体(MCT)アイソフォームの発現量を増やすシグナル因子として乳酸の発現効果を検証することであった。実験はSD系雄性ラットから速筋比率の高い滑車上筋と遅筋比率の高いヒラメ筋を摘出して、試験管内で異なる乳酸濃度を添加した培養液中でインキュベーションする手法を用いて行った。その結果、ヒラメ筋のMCT1と滑車上筋のMCT4の遺伝子発現量は10mMの乳酸濃度を添加した培養液中で16時間のインキュベーションにより有意に増加することを見出した。さらに、乳酸投与によって血中の乳酸濃度が増加すると、脳内の乳酸濃度も増加するか否かを検討した結果、血中乳酸濃度と全脳領域における乳酸濃度との間には正の相関関係(p<0.001)が認められることを見出した。以上の結果から、乳酸は筋線維タイプ特異的にMCTアイソフォームの発現量を増やす因子になることが示唆された。また、運動による脳内の乳酸濃度は血中由来を介して増加して、MCTの発現量を増やす因子となる可能性も推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は試験管内に乳酸を添加した培養液中で単離筋をインキュベーションする手法を用いて、乳酸自体に対する骨格筋のMCTアイソフォームの遺伝子発現効果の検証を行い、乳酸は筋線維タイプ特異的にMCT発現効果を高める可能性を明らかにした。また、乳酸投与により、血中乳酸濃度と脳における乳酸動態との関係の検討も行い、運動時の脳内の乳酸濃度は血中由来を介して増加して、MCTの遺伝子発現量を増やす因子となる可能性を推測できる結果を収集した。但し、神経培養細胞の条件を最適化するシステムや測定器の不調・メンテナンスに時間を要し、脳の神経培養細胞を用いた実験に関しては、遅れているため、総合的評価では「やや遅れている」と考えるのが妥当である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究成果を国内学会で発表する予定であり、学術雑誌に投稿する準備も進めている。本年度は、基本的に研究計画に準拠した研究が可能であると考えられるため、乳酸代謝と関連する実験モデル動物(鉄欠乏性貧血など)を用いて、骨格筋と脳における乳酸代謝とMCT発現量との関連性を検証していく予定である。
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Causes of Carryover |
繰り返し再実験による実験動物数と薬品と抗体を含めた物品を購入したことで使用額が生じた
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該研究において、必要な実験装置の設置に加えて、実験動物や薬品などの物品を中心に使用する予定である。その他の用途として、学会における研究発表・情報集のための旅費や参加費、論文の投稿前の英文校正に主要する予定である。
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