2014 Fiscal Year Research-status Report
ラオス・タイを中心としたメコン流域の途上国における青少年の発達資産と健康
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25350839
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
朝倉 隆司 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00183731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 隆一 信州大学, 教育学部, 名誉教授 (10115389)
友川 幸 信州大学, 教育学部, 准教授 (30551733)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 発達資産 / 青少年 / 教員養成大学 / ラオス / バングラデシュ / インタビュー調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】ラオス人民共和国、バングラデシュの青少年のDAPを探索し、ラオスやバングラデシュで使用可能な発達資産の調査票を開発すること。 【方法】ラオスの調査は、2012年、2013年にルアンプラバン教員養成大学における教員(3名)と学生(20名)、ビエンチャン市にあるラオス国立大学附属小学校教員(9名)、同中学校教員(9名)、大学近郊の保健センター職員(3名)、住民(7名)を対象にインタビュー調査、自由記述式の調査とフォーカスグループディスカッションを併用した調査を行い、質的データを得た。さらに、2014年パクセの教員養成大学でも同様の調査を行った。バングラデシュでは、2014年に北部のロングプール県Teacher's Training Collegeにおいて各クラスより代表の11人(男5人、女6人)と教員3人(男)を対象に調査した。ラオスとバングラデシュにおいて、グループ調査は、発達資産に関する質問事項を事前に渡して各自の考えを書いておいてもらい、調査日には他の参加者の回答を聞きながら、順に新しい観点について発表していった。 【結果と考察】ラオスとバングラデシュの質的データを内容分析し分類すると、支援(支援することと支援される環境)、安全(平和で安全だと感じる環境)、社会的信頼(国や政治への信頼、愛国心)、規範(ルールを守ることと規範・道徳心のある社会)、自国文化・伝統の尊重(文化を伝える、誇りを持つ、年長者を敬う)、建設的な時間の使用(適切に時間を使う)、社会参加(家庭、学校、地域での活動への参加)、積極的学習態度(学習への参加意欲、学校に行く)、肯定的価値観(好ましい価値観を持つ、連帯、公正・人権意識)、社会的能力(適切な言葉つかい、変化への適応力、感情のコントロール)、自己肯定(自信、勇気、ポジティブ)、スピリチュアリティ(宗教的態度、倫理)の観点が生成された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラオスやバングラデシュの調査協力者に発達資産の概念を伝えるのが、難しい点であり、適切な質問を探るために、インタビュー調査を繰り返す必要があった。また、ラオス語やバングラデシュ語を日本語に翻訳してもらうのに時間を要した。しかし、このような文化的な障壁にもかかわらず、回答は比較的共通性の高い概念が得られた。それぞれの文化の概要を理解した上で、特殊性を探索しようとして、さらに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
ラオスを中心に、タイなど隣国を調査する計画であったが、まずラオスの教員養成大学の学生や附属学校の中高生を対象にした調査票の開発と実施を行う。そのためには、基本版は英語で作成するので、それをラオス人に可能な文脈に変換して翻訳を行う。調査は、ラオス国立大学と東京学芸大学と協定を締結する申請が進んでいるので、教育学部およびその関連が強い教員養成大学で調査が可能である。
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Causes of Carryover |
発達資産の概念を理解可能な説明にするのに手間取り、様々な対象者にインタビュー調査を行い、確認する必要があり、時間を要した。また、宗教意識や政治意識との関連がインタビューで抽出されたため、仏教圏以外のバンクラデシュでの調査を行った。渡航期間が限られる中、複数の調査国でインタビューを行ったため、想定以外の時間を要した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
まず、英語版からラオス語版の翻訳を行い、ラオス国立大学教育学部の学生、教員養成大学の学生を対象に、調査を行う。そのための渡航費用と調査費用に用いる。
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Research Products
(8 results)