2015 Fiscal Year Annual Research Report
医療従事者の睡眠状態と脳高次機能についての生理学的研究
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25350851
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
西多 昌規 自治医科大学, 医学部, 講師 (10424029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 敏 自治医科大学, 医学部, 非常勤講師 (30194814)
須田 史朗 自治医科大学, 医学部, 教授 (40432207)
菊地 千一郎 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (60323341)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 疲労 / 睡眠 / 手続き記憶 / 光トポグラフィ / 活動量計 / 背側前頭前皮質 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】当直・夜勤などによる医療従事者の疲労・睡眠不足は、医療事故の温床である。本研究では研修医を対象に、当直前後での疲労、睡眠状態の確認だけでなく、採血手技中の脳血液量変化を比較検討した。 【方法】6名の大学病院後期研修医を対象に実験を行った。ピッツバーグ睡眠評価尺度(PSQI)、うつ病自己評価尺度(CES-D)にて、睡眠状態及び抑うつ症状の評価を行った。当直中に、被験者に活動量計(ライフコーダFS750 、エステラ社製)を装着し、日中行動量と総睡眠時間、睡眠効率、中途覚醒時間を記録した。当直前後にて血圧、脈拍、疲労尺度として視覚的評価スケールVAS(Visual Analog Scale)、エップワース眠気尺度(ESS)を記録した。当直前後において、採血練習用の模擬血管を協力者に装着し、被験者に採血手技を行わせた。被験者にはウェアラブル光トポグラフィ(WOT-100, 日立製作所製)を装着し、関心領域を前額部付近として採血手技中の脳血液量変化を記録し解析を行った。 【結果】採血手技中の脳血液量変化をoxy-Hbを指標にして比較したところ、当直後の方が当直前に比べて高いoxy-Hb積分値を示したものの、統計的有意差は認められなかった。しかし当直後における2回の採血手技で比較したところ、2回目は1回目に比較して、右前頭前皮質領域 いのけるoxy-Hb積分値の有意な減少が認められた (p=0.046)。 【考察】本実験で用いたタスクは採血手技という容易な手技であるにもかかわらず、当直翌日の採血手技中では、脳血液量維持が困難になっていることを意味している。巧緻な医療技術だけでなく、ヒヤリ・ハットに通じるようなルーチンワークのイージーミスを発生しやすい神経学的証拠であるとも解釈できる。医療従事者の健康および患者の安全のためにも、負荷の強弱に関係なく、労務環境の整備・充実が望まれる。
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Research Products
(3 results)