2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25350856
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中山 壽之 日本大学, 医学部, 講師 (00287632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 忠利 日本大学, 医学部, 教授 (30280944)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 外科手術 / 安全教育 / 安全推進 |
Research Abstract |
本研究の目的は、外科医が技術を研鑽する上で、安全性に重点をおき合目的に手術手技を習得できる教育システムと客観的評価システムを確立することである。客観的で定量 化された手術手技の教育評価システムを構築するために、デジタルデータを蓄積し既知の医療情報と比較し適切な手術教育か否かを評価する。平成25年度は、デジタルデータの集積に努めた。術前予定術式と実際に施行された術式との一致率を従来からのデータベースと比較する一方、新規に導入した3Dスキャナにより術野と標本を定量測定する第一段階を実施した。まず外科手術(特に肝切除)に関する手技、臓器、切除術式の画像データベース化を行った。1)肝切除予定の患者MDCTからVincentを用いて3D画像を構築し蓄積した。切除予定範囲を設定し切離面に露出する脈管構築、肝離断面積を同定し記録しておく。2)デジタルカメラにより2Dおよび3D画像の集積を行った。肝切除術式を撮影しデータベースとした。同時に患者の背景因子、術前肝機能、切除術式、手術時間、出血量、在院日数、術後合併症、切除標本重量、腫瘍個数、腫瘍径などを集計した。3)切除標本について肝離断面の面積をマニュアルで測定したのち、デジタルカメラにより標本全景、腫瘍割面を撮影した。腫瘍の肉眼形態、内部構造、脈管侵襲など病理学的所見について記録しデータベース化した。4)切除標本の3D構築を3Dスキャナで行った。立体情報を数値化し手術手技教育の評価に採用できるように切離面積を基本とし、標本重量あたりの切離面積、離断面の高低差などの情報を定量化測定した。3Dスキャナによる測定に当たり効果的に画像を獲得するため、一つの検体について複数回の取り込みを行い、どの画像が研究データとして適正化を判定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の達成度について初年度である平成25年度はおおむね順調に進展した。最も順調に進行したのはMDCTから術前の3D画像を構築し蓄積する作業である。約100例の肝切除患者について肝切離面に露出する脈管構造、切離面積、標本予測重量の蓄積が行われた。これらは学内サーバーに保存され患者個人情報に配慮しつつ容易に評価できる状態でデータベース化された。次にデジタルカメラによる手術術式、切除部位の記録は症例を選択して行われた。撮影に当たり十分な術野が得られ、手術手技に支障のない場合を選んで積極的に画像データの確保を行った。約40例の術野記録が行われた。次に切除標本のデータベース化はおおむね順調に進んだ。臓器摘出後に速やかに測定が行われ登録用紙に記載された。現在、これらのデータをデジタルがするために順次、パソコン入力が行われている。3Dスキャナによる定量化は研究開始時はやや進行が遅れていたが、初年度後半になり経験値が増し、順次データの獲得が行われている。しかし、一つの検体について複数回の取り込みを行うための時間的制約があり適切な画像処理のための条件改善を随時行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は平成25年度から平成27年度までの3年間を要して行われる。初年度はおおむね順調に推移したが、3Dスキャナによる標本デジタルデータ化に条件改善が進行中である。1) 中間年度の平成26年度は特にこの点に注力し迅速に適切な画像データが得られる方法を検討する。本研究では術前に予定された3D画像と手術により摘出された標本の3D画像を比較することにより手術手技の達成度を判定する点を最大の目標としている。教育効果として抽象的なデータより具体的に数値化されたデータを用いることは明白であり、標本の3D画像を明瞭に抽出することは研究の成否にかかわる案件である。2) 初年度達成度項目で述べたが、マニュアルによる切離面積、標本重量、切離断端距離は順調に測定されておりこれらの項目を使用した教育効果の判定も同時に行っていく予定である。さらに、判定結果に基づいて効果的な外科手術の教育法を検討していく予定である。3) 外科手術の成否を短期的判定できる項目は出血量や術後合併症と言われている。どのような手技と標本データが出血量や合併症が少なく、どのような教育効果により安全な手術手技を達成できるかを判定していく予定である。
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Research Products
(3 results)