2013 Fiscal Year Research-status Report
在宅訪問栄養食事指導に関わる管理栄養士の実践力育成のための発展的教育プログラム
Project/Area Number |
25350869
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chugoku Gakuen University |
Principal Investigator |
多田 賢代 中国学園大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30341134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 貴代 (笹川 貴代) 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (10254567)
佐藤 香苗 天使大学, 看護栄養学部, 准教授 (40405642)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 在宅栄養支援 / 管理栄養士養成 / 教育 |
Research Abstract |
在宅栄養支援における教育と現場に関する現状把握のため、二つの調査を実施した。一つ目は、管理栄養士養成課程における在宅療養支援に関する教育方法を検討した。管理栄養士養成課程学生を対象に、管理栄養士による在宅療養支援に関するDVD教材を用いた観察学習、および模擬患者に対して在宅栄養食事指導を実施する面接体験学習を実施し、学生の自己効力感に焦点をあて検討した。「A.医療倫理と対人スキル」「B.記録、プレゼンテーション」「C.医療(介護)チームの一員での役割」「D.栄養アセスメント」「E.栄養診断」「F.栄養管理計画・栄養介入」「G.モニタリングと評価能力」の7つの学習分類からなる計25問を設定し、同一の自記式質問紙法により各学習前後に調査した。観察学習では、7つの学習分類全てにおいて視聴後の平均得点の上昇がみられ、自己効力感が低いものでもDVDを視聴する代理的体験により、自己効力感が喚起されることを見出した。管理栄養士養成課程の学生において、観察学習は在宅栄養支援の自己効力感を高める有効な方法と考えれ、この成果を発表した(佐藤香苗、多田賢代、川上貴代:管理栄養士養成課程における在宅栄養支援教育に対するビデオ学習の効果~学生の自己効力感に焦点をあてて~.Health Sciences Vol.29,No.2,2013)。 また、前述の観察学習から半年経過後に面接体験学習を実施し、同様に調査したところ、自己効力感の上昇は鈍い結果となったが、模擬体験は学生自身が具体的な課題を見出す有効な方法であることが示された。 二つ目は、在宅栄養支援の現状から管理栄養士に求められている支援の内容や技量について検討した。在宅療養支援に携わる医師、訪問看護師、介護支援専門員、訪問介護員が、在宅療養者に対して管理栄養士が行う栄養支援として必要と思う事項や技能を問う調査票を作成し、郵送法にて調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度上半期の計画は、在宅療養に対する管理栄養士養成カリキュラム上の問題把握のための調査の実施、調査結果の解析であったので、管理栄養士養成課程学生を対象に観察学習を実施し、在宅栄養支援に関する学生の自己効力感について調査し、この調査結果を日本健康科学学会誌に投稿した(佐藤香苗、多田賢代、川上貴代:管理栄養士養成課程における在宅栄養支援教育に対するビデオ学習の効果~学生の自己効力感に焦点をあてて~.Health Sciences Vol.29,No.2,2013)。在宅栄養支援に関する観察学習から半年経過後に実施した面接体験学習までを通じた学生の自己効力感の変化についても調査し、この結果の解析も終え現在執筆中である。 また、平成25年度下半期の計画は、在宅訪問栄養食事指導力として必要な具体的内容の把握、在療養者対する栄養食事支援のための技量についての現場調査であったので、これに関しては在宅療養支援に携わる医師、訪問看護師、介護支援専門員、訪問介護員を対象に、在宅栄養ケア支援に関して郵送法にてアンケート調査を実施した。各職種から回答票を回収できており、データ入力もすでに終了し、現在データ解析中である。 以上のとおり平成25年度の研究計画は順調に遂行できており、管理栄養士養成課程学生に対して在宅訪問栄養食事指導における管理栄養士としての使命感や志気を高め、栄養食事指導実践力を向上させるための教育プログラムを開発するという本研究の目的達成に向けて現状把握ができたことから、おおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究結果より、在宅栄養支援に関する教育方法、および在宅栄養支援における管理栄養士に求めらる技量が把握出来たことから、今後は管理栄養士養成課程卒業までの教育目標を検討し、教育目標達成のための実践用テキスト等の作成を行う予定である。また、教育目標達成の評価としてのOSCE(Objective Structured Clinical Examination)の開発に向けて、在宅療養支援を行っている管理栄養士や他職種と連携を図り、協働してOSCE実施のためのシナリオ原案を検討する。 そのために、現在、管理栄養士養成校でOSCEを手掛けている大学教員との情報共有を図る必要があると考えられることから、8月に開催される第61回日本栄養改善学会学術総会において、研究自由集会を開く予定である。また、在宅療養支援における多職種連携、在宅栄養支援に対する他職種からの意見を得るために、11月開催の第73回日本公衆衛生学会総会においても自由集会開催を計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究分担者の川上貴代氏が当該年度後半より産休及び育児休暇に入ったため、研究費の使用が休止した。また、在宅療養支援現任者を対象とした調査において、研究計画当初は、我々研究チーム独自で郵送し、調査協力を依頼する予定であったが、調査回収率を上げるため、岡山県栄養士会を通じて実施したため、調査依頼のための費用や調査票郵送費を削減することができた。そのため、未使用額が生じた。 研究分担者の川上貴代氏は、平成26年4月より育児休暇から復帰されるため、本研究は計画どおり遂行される。また、OSCEを手掛けている他の教育者とのネットワークづくり、および教材づくりのための現任者とのネットワークづくりに向けて、学術総会での自由集会の開催などを行う予定にしており、ここに使用する予定である。
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