2014 Fiscal Year Research-status Report
外傷性ストレスからの回復過程を予測する客観的指標の探索
Project/Area Number |
25350871
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
大江 美佐里 久留米大学, 健康・スポーツ科学センター, 講師 (40373138)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 心的外傷後ストレス障害 / レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,災害・犯罪・事故等の精神被害といった外傷性ストレスからの回復過程を予測する客観的指標の探索を目的としている。平成26年度は,平成25年度の成果をふまえて,以下の研究を行った。 1.客観的指標探索:DHEAおよびその代謝物DHEA-SがPTSD患者において治療反応性を示すという先行研究に基づき,縦断的にこれらの指標を測定する研究計画を立てて実施した。昨年度に続き被験者を募集し,3名を新たにエントリーした。 また,前年度の結果を個人レベルで症例検討し,症状の客観的指標であるPRISM (Pictorial Representation of Illness and Self Measure)の変化について検討し,学会発表を行った。 2.外傷性ストレス,およびその回復過程に関する理論的研究および講演活動:支援者にもたらす二次性外傷性ストレスに関する尺度(Secondary Traumatic Stress Scale:STSS)の日本語版作成に向け,英語版の翻訳許可を原著者から得た。そして,バックトランスレーションを行い日本語版の原版を作成した。そして,この尺度の信頼性,妥当性検証に向けた予備調査を看護師を対象に行った。また,外傷性ストレスのうち悪夢に着目し,「怖い夢を変えよう」というタイトルの患者向け小冊子を作製した。さらに,幼少期の外傷体験についてアセスメントを行うツールとして日本語版のChildhood Attachment and Relational Trauma Screen (CARTS)作成を計画し,バックトランスレーションをもとに原案を作成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
客観的指標探索研究については,当初の計画の人数を研究に導入することは困難であることが判明した。その理由として,被験者の追跡が途絶えてしまった症例があること,導入に際して同意が得られない症例が予想以上に多かったことがある。また,試料採取に時間的制約があり,外来患者では来院が遅れて試料採取が困難となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
客観的指標探索研究は当初の大規模研究で遂行することは困難となったことから少人数による探索的研究に変更する。この変更により,統計的な検討が困難となる可能性が生じるが,その一方で,各参加者の結果についてより詳細に検討し,考察することが可能となると考える。さらに,外傷性ストレスおよびその回復過程に関する理論的研究として,数値化して客観的指標として用いることが可能な新たな尺度(PRISM,STSS,CARTS)に関する研究も並行して進めていく。
|
Causes of Carryover |
被験者組み入れ数が減少したことにより謝金,試料分析委託料等に当てていた金額が減少したこと,また研究補助員としての雇用について計画よりも勤務日数が少ないことにより次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は研究結果の解析および発表が予定されている。成果に関して対象者にわかりやすく還元するための冊子作成等も計画しており,次年度使用額は旅費および冊子作成代として充てる計画である。
|