2014 Fiscal Year Research-status Report
組織酸素分圧上昇が骨の石灰化と骨折治癒に及ぼす効果
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25350881
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
川田 茂雄 帝京大学, 医療技術学部, 講師 (20376601)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 組織酸素分圧 / 骨折治癒 / 高気圧高酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、組織酸素分圧の増加が骨の石灰化促進、および骨折治癒促進を引き起こすかどうかを検討することを目的としている。これまでに、組織酸素分圧の増加が骨の石灰化を促進することを確認できたことから、研究2年目では、骨折治癒を促進するかどうかを実験動物のマウスを用いて確認した。組織酸素分圧の増加は、マウスを2絶対気圧、90%酸素環境下の特殊チャンバーに置くことで実現させた。マウスの大腿骨を外科手術により切断し、その後、高気圧高酸素(HBO)暴露を1回あたり90分間で週5回の頻度で2週間、4週間、6週間行う群を設定し、骨折治癒効果を検討した。 その結果、骨折2週間後では、HBO処置群では、骨折部位周辺に形成される仮骨面積がHBO無処置群より大きくなることがCT画像より確認できた。骨折4週間後では、HBO処置群では無処置群と比べ、明らかに治癒が促進されている様子がCT画像所見より確認された。骨折6週間後に大腿骨を採取し、3点曲げ試験を行い、骨の物理的強度を検討したところ、HBO処置群では、骨強度は完全に回復していたが、無処置群では完全回復には至っていなかった。 今回の結果から、組織酸素分圧の増加は、in vivoにおいて、骨折治癒を促進するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
再現性の極めて高いマウス骨折モデルの確立が予定通りできたことにより、当初の予定通りのスケジュールで実験が遂行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
骨そのものの治癒は促進したが、骨組織以外に高酸素暴露の副作用が出ていないかを確認する必要がある。 本年度は、副作用も含め、生体への組織酸素分圧の増加の効果を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者が研究機関を異動したことにより、当初予定していた国際学会での研究成果発表を当該年度は控えたため、若干の繰越金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、生化学的解析を行うための抗体、酵素、一般試薬を購入する。また、積極的に外部の意見を取り入れるために、学会等に参加する。一部、小型実験機器に不具合が出たので、新たに購入する。
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