2015 Fiscal Year Annual Research Report
筋委縮条件下における骨格筋幹細胞の機能制御機構の解明
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25350882
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
我妻 玲 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 学術支援専門職員 (00347121)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 骨格筋幹細胞 / リザーブ細胞 / 栄養飢餓ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は栄養飢餓ストレスが、骨格筋幹細胞の機能に及ぼす影響について検討することである。骨格筋幹細胞由来の株細胞 C2C12を分化誘導すると、細胞は筋管細胞へと分化する細胞と分化せずに筋芽細胞のままで留まる"リザーブ細胞"の2つのサブポピュレーションに分れる。リザーブ細胞は、未分化かつ休眠状態を維持していると考えられており、筋衛星細胞に近い性質を持つと考えられている。平成27年度は、栄養飢餓ストレスに曝露されたリザーブ細胞における遺伝子およびタンパク質の発現について検討した。分化誘導した4日目の筋管細胞/リザーブ細胞に栄養飢餓ストレス(分化培地からカルシウムおよびマグネシウムを含むPBSに変換する)を与えた。48時間後、リザーブ細胞からtotal RNAを抽出してRT-PCRを行い、mRNAの発現量をコントロール(栄養飢餓ストレスなし)リザーブ細胞と比較した。栄養飢餓ストレスに曝露されたリザーブ細胞は、Pax7、 MyoR、Sprouty1、Survivin、Foxo1/3a/4のmRNA発現レベルが高かった。また、イムノブロットによる解析の結果、核内のFoxo1/3aタンパク質が増加していることが明らかになった。そこでFoxo1/3aの生理的役割を類推するため、リザーブ細胞の増殖・分化過程における核内のFoxo1/3aタンパク質の量的変化を解析した。リザーブ細胞を増殖培地で96時間培養すると、増殖中の筋芽細胞はFoxo1の増加とFoxo3aの著しい減少が観察された。さらにリザーブ細胞を増殖させた後、分化誘導したところ、Foxo1の減少とFoxo3aの再増加が観察された。先行研究の結果を考慮すると、Foxo3aは、リザーブ細胞の未分化性に関与している一方、Foxo1は、筋芽細胞の分化を抑制することにより増殖に関与している可能性がある。
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Research Products
(5 results)