2013 Fiscal Year Research-status Report
高齢者のライフヒストリー分析による生涯発達過程での運動の意義と影響に関する研究
Project/Area Number |
25350895
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokusho University |
Principal Investigator |
小坂井 留美 北翔大学, 生涯スポーツ学部, 准教授 (20393168)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ライフヒストリー / ライフコース / 運動経験 / 高齢者 / インタビュー調査 |
Research Abstract |
本研究は,北海道の地域在住高齢者を対象に,ライフヒストリーに関するインタビュー調査を行い,インタビューテキストデータを定量的・定性的に分析して,運動実践の意義や人生での役割,心身機能との関連を明らかにすることを目的とする.今年度は,インタビュー調査の技術習得と予備調査から研究手順や体制の整理・確定を行った. 1.ライフヒストリー・心身機能データの収集方法の整備:基礎個人調査票作成,心身機能調査のためのShort Form 36(SF-36),Center for Epidemiologic Studies Depression Scale(CES-D) Scaleの日本語版等の使用許諾取得,Mini-Mental Scale Examination(MMSE),ライフコース整理表等の作成を行った.スタッフに対し,インタビュー調査方法等の教育を行った.本研究について,北翔大学倫理委員会へ申請し承認を得た. 2.予備インタビュー調査・分析:地域担当者より紹介を受けた15名について調査同意書を得た後予備調査を実施した.インタビュー録音を希望しなかった1名を除く14名(内,男性3名)を分析対象とした.対象者の平均年齢(SD)は81.0(8.5)歳であった.SF-36のGH尺度,CES-D,MMSEの平均得点(SD)は,順に76.4(15.3),6.5(8.1),26.3(3.1)であり,うつ傾向2名,認知機能障害疑い2名を認めた.平均インタビュー時間(SD)は75.3(13.0)分であり,全てテキスト化した.幼少期の家族との死・離別体験,炭鉱住宅での生活,進学の断念等の背景,手作りの運動用具,川遊び,地域全体での運動会等の体験が対象者の多くから話された. 今年度の研究により,調査プロトコールなど実施体制がほぼ確定した.背景や運動関連項目における共通体験が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は研究の初年度であり,インタビュー調査方法の整理と確定を目的に研究計画された.1. インタビューおよび心身機能調査を実施するための調査表の使用許諾取得と作成,2. 研究全体の計画書作成と倫理審査委員会への申請と承認,3. スタッフ研修を含む予備的な20名のインタビュー調査の実施とテキスト化,プロトコール確定,4. 予備インタビュー調査からの共通項目の抽出が実施できたため,概ね順調に研究が進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は,本調査を実施し,更なるインタビュー調査から分析内容の拡充を進める.予備調査から大きな計画変更の必要が認められなかったため,計画通り1.本調査のインタビューデータ収集とデータのテキスト化,2.ライフコースと運動経験との関連についての文脈に即した定性的検討,3.ライフヒストリー中の運動に関連する用語等のデータマイニング,4. 運動とライフイベント,環境・文化要因および心身機能との関係について定量的検討を行っていく. 研究遂行状の問題点として,インタビュー内容の正確さや充実のため,同じ対象者への再インタビューが必要になる可能性が考えられ,目標とする対象者数の確保やインタビュー費用の増加が課題となる.そのため,平成26年度は4月からインタビュー調査を開始し,昨年度抑えることのできた助成金をインタビュー費用に使用する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に,テキストマイニング用ソフトが予定より安く購入できたことによる.また,インタビュー用のICレコーダー欠品のため,予定数が購入できていない状況もある. 本調査開始と分析内容拡充に向け,インタビュー調査およびテキスト化のために多くの費用が見込まれる.昨年度抑えることのできた助成金はインタビュー関連の物品,人件,分析費用に使用する.
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Research Products
(1 results)