2013 Fiscal Year Research-status Report
鍼刺激療法を用いた心不全に対する新規制御システムの構築
Project/Area Number |
25350909
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
山本 裕美 近畿大学, 医学部, 講師 (10528582)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 鍼 / 血行動態 / 心不全 / 交感神経活動 |
Research Abstract |
本研究の目的は、代替医療の1つとして着目されており、外部からの低侵襲刺激で血行動態に変化をもたらすとされる鍼通電刺激について、その自律神経活動及び循環調節機能に及ぼす影響を動物実験にて科学的に検証するとともに血行動態に対する有効性を明らかにし、あらゆる心疾患の終末像である心不全の病態、特に有病率の高い生活習慣病に合併した高血圧性心疾患、虚血性心疾患による心不全に対し、その進行性障害の予防および現在薬物治療抵抗症例に施行されている高額かつ侵襲の大きなデバイス治療に変わる新たな重症心不全へのアプローチの1つとして鍼通電刺激を用いた心不全制御システムを構築、開発することである。 研究代表者の今までの研究から、動物(ネコ)において足三里への鍼通電刺激は心臓交感神経と腎臓交感神経の関係に乖離をもたらし、腎臓交感神経は抑制されるが心臓交感神経は逆に活性化される場合があることがわかっている。心不全の病態に対して心臓交感神経の活性化は望ましくない。よって、まず、確実に心臓交感神経活性を抑制する刺激ポイントを見つけ出す事が必要であると考える。昨年度(2013年度)は、心不全治療としての至適な刺激ポイントの検索を行うことを課題としており、これを中心に実験を行った。ラットを用い様々な部位への刺激を行い、血圧、脈拍、心臓交感神経活動を記録したが、なかでも耳介の特定部位への鍼刺激は、ほぼ確実に心臓交感神経活動を抑制でき、血圧、脈拍ともに低下させる事がわかった。この実験結果については、2014年ヨーロッパ心臓病学会へ演題として投稿している。 今後はこの刺激ポイントを用い、心不全モデルラットでの実験を進める予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一応、初年度の目標としていた、心不全治療にたいして至適と思われる刺激部位を特定することが出来たため。
|
Strategy for Future Research Activity |
2014年度は、心不全モデルラット(Dhal Rat)に対し、昨年度検索した至適ポイントである耳介の特定部位を用いて、血行動態や予後を観察する予定である。 ただ、WKYラットへの耳介刺激における迷走神経の関与についても現在検証中であるため、心不全モデルラットでの実験開始が多少遅れる可能性がある。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験機器として購入予定であった物品が、本研究費申請時以降に他の研究目的ですでに購入されたため購入する必要がなくなってしまった事、また当該年度中に研究発表ができなかったためそれらにかかる経費が使用できず、次年度使用額が生じてしまった。 本来はモデル動物実験に関する血行動態については予算の関係上手動で血圧等計測予定であったが、テレメトリー送信機を購入し、テレメトリーで計測することも考えている。また、次年度はすでに幾つか学会発表が決定しており、これらに使用する予定である。
|