2014 Fiscal Year Research-status Report
鍼刺激療法を用いた心不全に対する新規制御システムの構築
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25350909
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
山本 裕美 近畿大学, 医学部, 講師 (10528582)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 耳介鍼刺激 / 心臓交感神経抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度に、麻酔下ラットにおいて心臓交感神経活動および血圧、脈拍を確実に抑制する鍼刺激部位を検索した。その中で、有効な刺激部位として耳介鍼刺激が候補にあがった。平成26年度は耳介の具体的にどの部位への刺激が最も有効かを検証する作業を行った。その結果、耳介の迷走神経支配領域への鍼刺激において、徒手鍼刺激、電気鍼刺激ともに心臓交感神経活動および血圧、脈拍を抑制することが明らかとなった。これらの、一連の研究結果は、平成26年9月の計測自動学会ライフエンジニアリング部門のシンポジウム2014で発表し、また10月のiSAMS 2014 (International Scientific Acupuncture and Meridian Symposium) においてinvited speakerとして発表した。 また、鍼刺激による降圧作用の対比のためにカルシウムチャネル阻害による降圧作用についても調べた。その結果、鍼刺激では中枢性に交感神経活動を抑制するのに対して、カルシウムチャネル阻害では中枢性の交感神経活動の抑制は生じなかった。この研究結果は論文化しLife science誌に受理された。 平成26年度の後半は、迷走神経支配領域の耳介刺激によって心臓交感神経活動が抑制される機序について、迷走神経遠心路の関与があるかどうかを明らかにするため頸部迷走神経を切断したモデルでの実験を行った。これについては現在、進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、平成25年度に見出した至適鍼刺激部位を用いて、平成26年度は心不全モデルラットへの効果を検証することとなっていたが、確実に交感神経抑制を惹起する部位を詳細に検討する事、およびそのメカニズムの検証を行ったことで、モデルラットへの応用まで至らなかった。 また、本年他国の研究グループから、犬での心不全モデルに対する、耳介電気刺激(鍼刺激ではない)が有効であったとする論文がでたこともあり、動物モデルで同様の研究を行う意義を再検討する必要性がでてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の様に、当初我々が計画していた研究については、他のグループからデータが出てしまった状況であるため、今後は、対象をヒトとして、耳介刺激装置の開発および健常人で耳介刺激の安全性確認を確認した後、実際の心不全患者への導入を目指し、研究を進めていく予定である。 また、耳介刺激による心臓交感神経抑制のデータに関しては、迷走神経切断モデルでのデータが揃い次第、論文化する予定である。
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Causes of Carryover |
コストの高いモデル動物での実験を計画していたが、予定通りの実験は出来ず、通常ラットを用いた実験を継続して行っていたため、予定よりも支出が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画を変更し、ヒトに対する耳介鍼刺激装置の開発に着手する予定であるため、これに関わる支出が必要となる。
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Research Products
(3 results)