2015 Fiscal Year Research-status Report
学校環境における自然素材活用が特別な教育ニーズをもつ子どもの学校適応に与える影響
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25350922
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
尾崎 啓子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (80375592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅田 茂裕 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40272273)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 学校環境 / 木質化 / 特別支援教育 / ストレス / 行動観察 / 面接調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、学校の校舎、教室などの施設設備や環境整備といった物理的要因が、児童生徒、特に知的障害や発達障害などの特別な教育ニーズをもつ子どもの学びと遊び、人とのかかわり方といった成長発達に与える影響を、自然素材活用という物理的環境調整による行動変容の観点から検討することである。 平成26年度は、調査対象校であるF特別支援学校において、小学部の中庭にウッドチップを敷き詰めたスペースを観察場所とし、児童の遊びと学びの様子を行動観察した。担任と元担任教師にインタビュー調査を行い、中庭を活用した学習活動の工夫、1年間の活動の感想、子どもたちの行動変容に関する気づき、などを尋ねた。子どもの障害特性と個性の違いにより、中庭や木質化したスペース・教室での時間の過ごし方に違いがある可能性が示唆された。 海外の調査については、ドイツ・ミュンヘン市とフィンランド・バンター市の複数の就学前施設・子育て支援センター・小学校などを訪問し、自然素材を活用した学びの環境づくりに関して、視察と関係者へのインタビューを行った。 平成27年度は、調査対象校のF特別支援学校中学部3年生の1年間の木工活動を通して、自然素材を使った学習の活用による生徒の成長をまとめた。また小学部児童の「遊びの指導」を観察して、学校木質化の効果評価の観点を、ウッドチップ広場の活用の工夫と子どもの遊びの変容(遊び方、内容、先生や友達とのかかわり方)に絞り、教師対象の質問紙調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究のテーマは、特別支援学校における学校環境木質化の児童生徒に与える影響を検討することである。3年目にあたり研究のまとめを意識して、調査対象校の児童生徒の行動観察を行い、木質化の効果評価の観点を①小学部教師の「遊びの指導」を通したウッドチップ広場の活用の工夫と子どもの遊びの変容②中学部3年生の年間を通した木工活動から見た、自然素材を特別支援学校の授業に取り入れる意義、の2点に絞った。 観察は継続し、研究成果の発表も一部行えたが、一昨年度より対象校である附属特別支援学校長に就任し、多忙で観察頻度は予定より少なくならざるを得ず、面接調査など研究に必要な調査が実施できていないため、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き資料の収集と整理、調査対象校における調査研究を行う。行動観察調査対象を小学部の児童18名に絞り、ウッドチップを敷き詰めた中庭での授業時と休憩時間の様子を複数回ビデオ撮影して、子ども別、行動別の解析を行う。加えて教師を対象とした質問紙調査、面接調査を実施し、教師との話し合いの機会も持ちながら質的データの分析を進める。結果を広く公表する。
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Causes of Carryover |
研究代表者が調査対象校の校長を兼務しており、多忙で実験を実施できなかった。そのため、実験に関連した物品購入や観察データ入力などに対する謝金の支払いが発生しなかった。成果公表も論文投稿のみだったので、資料収集のための出張旅費しか使用せず、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究を1年延期したので、観察調査と実験に必要な物品の購入と、調査結果の公表に係る旅費などに使用する予定である。
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Research Products
(3 results)