2015 Fiscal Year Annual Research Report
虐待が疑われる子供に認められるキズを客観的に評価する方法を確立する
Project/Area Number |
25350925
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高塚 尚和 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40242490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 春夫 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30134919) [Withdrawn]
舟山 一寿 新潟大学, 医歯学系, 助教 (80568486)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 子ども虐待 / 皮下出血 / デジタル写真 / RGB分離 / 児童相談所 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画の最終年度であることから,以下の点について検討を行った。 (1)平成26年度に試したデジタルカメラで撮影した皮下出血の写真をコンピュータに取り込み,RGBの三原色に分解しての分析精度の向上を目指して検討した。さらに,法医解剖実務への応用を目的として,色調の変化と病理組織学的所見との相関関係も検討した。 (2)本研究計画期間において,児童相談所及び大学病院等において実施した子どもの損傷診断事例の総括を行い,デジタル写真をコンピューターで処理した画像が,実際の診断実務及び裁判での証言に応用できる水準に達しているかどうか等について検討した。 まず,(1)の結果であるが,確かに受傷直後,あるいは受傷から数日程度経過した皮下出血に関しては,ある程度の精度で画像上,抽出することができ,その大きさ(面積)も算出することができたが,受傷数ある程度経過して,辺縁部の色調(黄褐色ないし黄緑色)が,非損傷部の皮膚の色調に近い部位では,出血部と正常部とを正確に分別できず,さらに撮影時に影等と重なった部位も損傷部と認識する等の問題を解決するには至らなかった。(2)の検討を行ったところ,児相職員等に皮下出血の性状を説明する際,このような画像処理を行ったものは,ある程度有効であるとの結果を得たが,厳密に説明する際,裁判所での証言や警察での調書あるいは意見書,鑑定書で求められる水準には達してはいなかった。確かに画面上で皮下出血が認められる部位を手動で抽出すれば,高精度に認識可能であるが,実務が煩雑となり,従来の方法で評価するのと全く変わらない。しかし,損傷検査時に撮影した写真を利用でき,概要を一般的に説明するには有用であることから,司法レベルの精度を求められない業務で利用するのに適しているとの結論を得た。なお,皮下出血の色調と病理組織像との相関については,現在も検討中である。
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