2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25350926
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
安倍 博 福井大学, 医学部, 教授 (80201896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 佳子 福井大学, 医学部, 准教授 (50297404)
長谷川 智子 福井大学, 医学部, 教授 (60303369)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | タクティール / PDD / ASD / ストレス / コルチゾール / 自律神経系 / 心理的指標 / 発達障害 |
Research Abstract |
平成25年度は、タクティールケアのPDD(ASD)児をもつ養育者へのストレス緩和効果を検討する目的から、母親を対象として、1回のケア実施による効果(急性効果)を、心理的・生理的指標により明らかにする研究を行った。実験は、条件を一定に保った部屋にて、同一対象者に対して、タクティールケアを実施する[介入]と、タクティールケアを実施しない[コントロール]を連続した別日に行った。対象者は唾液試料を採取後、5分間の心拍測定を行い、その後20分の[介入]または[コントロール]を実施後、再び5分間の心拍測定を行い、唾液試料を採取した。[介入]と[コントロール]の順番は対象者によってランダムにした。対象は、福井県内のPDD児をもつ母親で、皮膚疾患、循環器疾患、自律神経系疾患、免疫系疾患のない者とし、閉経している者は除いた。測定項目は、生理的指標の内分泌系反応として、唾液中のコルチゾール濃度およびIgA濃度をELISA法により検出した。自律神経系反応として、心拍変異分析の周波数範囲分析を行い、心拍動周期の比LF/HFを算出した。心理的指標として、気分プロフィール調査票短縮版(POMS)、リラックス尺度、新版状態―特性不安検査(STAI)を用いて測定した。対象者は16名(39.1±1.5歳)であった。心理的指標において、実験前後の変化率は,POMSでは3つの下位尺度に関して【コントロール】より【介入】で有意に減少し,STAI Y-1では【コントロール】より【介入】の方が有意に減少した。PDD児の母親に対する手のタクティールケアの実施は,主観的評価において,気分を肯定的に変化させ,状態不安を軽減させるのに有効と考える。生理的指標に関しては分析中である。また、母親からPDD児へのタクティールケアの効果(継続効果)を検証する研究を開始し、平成26年度に継続して実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究実施計画における養育者へのタクティールケアの効果検証実験は、順調に終了し、心理的尺度による主観的指標および心拍・唾液サンプリングによる自律神経系反応・内分泌系反応の計測を対象者から測定することができ、当初の予定通りに実施できた。当初は対象者数が確保できなかった場合には平成26年度の継続実施も計画していたが、本年度で予定人数を確保できた。主観的指標(心理的尺度)に関しては、すでに分析を終了し、仮説通りの結果が得られ、それによりタクティールケアがPDD児をもつ養育者の主観的なストレス反応を緩和する効果があることを検証できた。その成果は、平成26年度の日本生理心理学会で発表する予定である。タクティールケアのコルチゾール等の内分泌系反応および心拍等の自律神経系反応(生理的指標)への効果に関しては、平成26年度に分析を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、平成26年度に研究者が施術するタクティールケアによるPDD児への効果(急性効果)の検証を実施する予定であった。しかし、特別支援学校の教員や発達障害児団体の責任者との打ち合わせの結果、研究者がタクティールケアをPDD児に実施するには、その前にPDD児が研究者・タクティールケア・研究実施場所の3点に慣れることが必要であること、PDD児の特性からそれにはかなりの事前準備期間が必要になることなど、実施に困難が伴う点が明らかになってきた。そのため、本研究の実施期間内の実施が困難がであると判断し、平成27年度に実施予定であった母親によるPDD児へのタクティールケアの効果(継続効果)の検証の研究を平成25年度から準備期間を経て開始し、平成26年度に中心的な実験および結果の分析を行い、平成25年度の母親への効果の成果と合わせて、平成27年度に全体の総括と成果発表を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に予定していたコルチゾール等の分析を、平成26年度においても継続して行わなければならなくなったため、平成25年度分の分析用試薬キット購入費の一部を未使用分として計上した。 平成25年度の26年度繰越分については、平成26年5月の日本生理心理学会において、平成25年度実施研究の成果を発表するため、その旅費として使用する。また、今後の研究進展に関わる情報収集・研究打ち合わせのための旅費としても使用する。平成26年度配分助成金については、コルチゾール等生理的指標の分析のための試薬キット購入費、および26年度実施実験にかかわる物品費、謝金に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)