2015 Fiscal Year Research-status Report
セルフケア及び支援環境が大学生の抑うつの「予防」と「回復」に果たす役割と寄与
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25350929
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
田中 生雅 愛知教育大学, 学内共同利用施設等, 教授 (10262776)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 学校保健 / QOL / 抑うつ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の計画に沿い、平成25年、26年度のアンケート結果を元に、定期健康診断を通じた経過観察を行った。また、同健康診断時に1)K-10、2)医療機関の受診状況、3)相談窓口の利用やセルフケアの実践と効果、4)ストレスの有無、5)QOL-26調査(4年次のみ)の追加調査を実施し、2654名の回答を得た。現在解析の上発表準備中である。 学会発表としては、10月に米国(ニューヨーク)で開催された米国精神医学会のIPS学会で、2年の追跡調査が可能であった1425名(男性600名、女性825名)について、K-10の得点の変化から群わけをし、検討した結果を発表した。大学生活でのストレスの有無や絶望や希死念慮などの悲しみの感情を有する学生数については、概ね2年連続でカットオフポイント以上の群、悪化した群、改善した群、良好群の順であったことを報告し、米国でも大学生世代の自殺数は多いことから、米国の参加者にも関心を持って議論することができた。現在本結果について、論文を作成中である。 また論文としては、CAMPUS HEALTH52(2)にて、「自殺念慮が持続する大学生の健康管理」を発表し、自殺念慮が継続する学生では健康診断結果での肥満やるいそうを中心とした要経過観察の学生が約半数と少なくなく、肥満傾向は有意に高く、また、問診票での心身の不調をチェックする学生も高率である結果であり、健康診断の事後措置時に内科学校医は内科的な健康指導だけでなく、注意してメンタルヘルスリスクを診ていく必要があることを報告した。また、IRIS HEALTH vol.14では、大学生の抑うつ不安傾向とQOLについての性差検討について論文発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25、平成26年度だけでなく、平成27年度の追加調査を行うことができたため、3年間の追跡検討が可能となった。各年の調査参加者もWOLQOL-26調査の参加者は、700名程度と計画より少なかったが、K-10 を用いた抑うつ不安傾向のスクリーニングでは、各年2500名程度と計画以上の参加があり、調査の意義を高めたと思われる。 本年は、2本の調査に係る論文作成、海外でも発表ができ研究は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究期間に、論文未発表の調査結果についての英語論文作成を進め、海外ジャーナルへの投稿を試みる。また調査参加学生の年次経過について調査結果、健康診断結果と共に解析をさらに進め、新しい知見があれば学会発表を行う。
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Causes of Carryover |
平成27年度までの研究で国際学会での発表はでき研究は順調であるものの、英語論文発表の形で、投稿掲載まで至らず、平成28年度まで研究期間を延長し、さらに結果の解析を進めて研究を深め、論文の作成を目指すこととする。また、新しい知見がさらに得られれば学会発表を試みるため、期間を延長した研究費の使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度分として請求した金額にて、①論文作成のための情報収集のための図書購入や学会参加、②英論文の校正費用、雑誌投稿費用として主に使用する。また、③その他、データ解析にて新たな知見が得られれば、学会発表の旅費や参加費として使用する計画である。
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Research Products
(3 results)