2013 Fiscal Year Research-status Report
対話による〈探究のコミュニティ〉形成を通した場のセーフティに関する研究
Project/Area Number |
25350931
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
本間 直樹 大阪大学, コミュニケーションデザイン・センター, 准教授 (90303990)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 徹 大阪大学, コミュニケーションデザイン・センター, 特任准教授 (50420427)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 対話 / セーフティ / コミュニティ / 映像 |
Research Abstract |
本年度は以下の3点に関する研究を行った。 1.対話活動を通した場のセーフティについてのアクションリサーチ:下記の場所において現地の研究協力者の協力と研究員の補助のもと、事前調査と〈探究のコミュニティ〉の手法を用いた対話ワークショップおよび実施した。①兵庫県・大阪府の小学校(道徳教育、多文化共生)、 ②大阪府・沖縄県の高校での対話型授業(倫理教育)、③地域に住む外国にルーツをもつ子どもたちとの対話活動(大阪府豊中市・箕面市の国際交流協会)、④不登校(その予備軍を含む)の子どもたちコミュニティ(大阪府の高校)これらの現場で、〈探究のコミュニティ〉の手法を用いて、子どもたち自身がこうした課題をどのように捉え、自分のものとして思考しているのか、自分たちの望む場へと変容するために何が必要かについて当事者中心の考察を行った。 2.映像記録を用いた参加型質的研究:上記の場所で、研究分担者とともにビデオカメラを用いた撮影を行い、自分たちが見聞きしたことがらを、ビデオ映像を通して見せ合いながら対話し、対話や活動についての反省を行った。 3.海外の実践者との共同研究:ハワイ大学ジャクソン教授らとともに、探究のコミュニティの記録映像を活用した"Intellectual Safety"に関する研究の準備をすすめた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では4つの課題:1.地域での〈探究のコミュニティ〉形成によるフィールドワーク/アクションリサーチ、2.映像記録を用いた参加型質的研究、3.海外での先行事例調査、4.セーフティ概念群の明確化、を掲げており、研究協力者、研究員との緊密な連携をはかることにより、初年度はこれらすべてが計画通りになされた。主題である「場のセーフティ」については、毎回の実践のなかで具体化と概念化の双方において当事者たちとともに検証が重ねられ、そのプロセス自体が当事者たちにフィードバックされることが研究の意図であるが、それも概ね順調に達成されている。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度の1、2の研究を継続・発展させるとともに、連携研究者の助言を得つつ、主たる研究協力者による対話と聞き取り調査、映像記録検証を通して、身体、言語、感情、空間、媒介物、想像力、思考など、具体的に場を構成する要素を明確化し、セーフティに関連する概念群の言語化に力を入れる。二年目はハワイ大学の他に、ブラジル、サンパウロ大学教授ウォルター・オマール・コー ハン(Walter Omar Kohan)を訪れ、リオデジャネイロ郊外の貧困地域で行なわれている〈探究のコミュニティ〉活動の視察を行い、現地の活動における場のセーティに関連する聞き取り調査を行なう。また、セーフティ関連概念の検討のために、関連する諸文献を適宜、調査する。 最終年度は、以上に加え、再度ハワイ大学での共同ワークショップを開催し、成果を共有するとともに、セーフティ関連概念を諸地域での活動にそれぞれフィードバックし、概念が有効であるか、本研究が各活動にとってどのように役立ったのかを主題に、同じく〈探究のコミュニティ〉活動を通して、子どもを含む参与者全員で検討し、その結果を報告書にまとめる
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の準備状況を踏まえ、国内ワークショップの一部実施時期を次年度に変更したため。 予定しているワークショップ開催のための渡航費に使用する。
|