2014 Fiscal Year Research-status Report
保育所における生活困難の早期発見・早期対応と保育所の組織運営に関する研究
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25350936
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中谷 奈津子 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (00440644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関川 芳孝 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (10206625)
鶴 宏史 武庫川女子大学, 文学部, 准教授 (80411932)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 保育所 / 生活困難 / 早期発見 / 早期対応 / 組織運営 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、保育所における生活困難の早期発見・早期対応と、保育所内外の組織運営のあり 方の関連を明らかにするものである。 平成26年度は、以下の3点から研究を行った。第1に、平成25年度に実施した保護者へのインタビュー調査の詳細な分析・検討である。保護者の「生活困難と育児に関する相談のしやすさ」に着目し、現在保育園において年中または年長児を通園させている保護者5名を対象とした。保護者が「相談しよう」と考えたとき、相談する誘因として、保育士の行動特性、相談としての敷居の低さ、相談場所であることの周知などがあげられた。また、実際の対応場面では、対人援助技術が活用されていること、相談内容に応じた具体的な対応がなされていることがあげられ、それらは保育園における日常的な保護者へのアプローチが前提となっていた。さらに地域との交流や信頼される保育所運営なども、保護者の相談を支える要因として抽出された。 第2に、本調査に向けた予備調査の詳細な分析・検討である。特に問題を早期対応するための園内の役割項目を133項目抽出し、それらの抽象度を可能な限りそろえつつ70項目に整理した。どの役割項目がどの職階に期待されるかを確認したところ、職階によって偏りが見られた。さらに、それら役割項目を保育の実践者に確認してもらい、不足する項目、わかりにくい項目などを修正した。精査された項目は、来年度の大規模調査で使用する予定である。 第3に、早期発見項目の検討である。先の予備調査をもとに、虐待対応マニュアル等と比較し、生活困難を早期発見するための項目を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度の当初の予定は、大規模なアンケート調査を実施するというものであった。しかし予備調査の詳細な分析の必要から、平成26年度中のアンケートは困難となった。予備調査については当初予定していたよりもはるかに丁寧な分析が必要であり、実践現場の実感に近い有意義な調査結果が抽出されると考えている。 次年度の夏には、詳細な項目を調査票に盛り込み、意義のあるデータ収集を見込んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度末頃から、アンケート調査票作成に取り掛かっている。4月には、分析枠組みをほぼ確定させ、5月、6月と調査票の検討、確定へと進めたいと考えている。7月頃に、大阪府下私立保育園を対象に、大規模調査を実施し、生活困難の早期発見・早期対応と組織運営の関連性について、仮説検証していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
今年度予定していた量的調査が次年度の予定になり、その際のアルバイト等の人件費、資料収集のための文献費などが、未使用のまま残っている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は量的調査も実施することから、それに伴い執行予定である。
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