2015 Fiscal Year Research-status Report
幼児の総合的運動遊びにおける身体の動きの特徴と発達過程
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25350940
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松嵜 洋子 千葉大学, 教育学部, 准教授 (90331511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
無藤 隆 白梅学園大学, 子ども学部, 教授 (40111562)
石沢 順子 相愛大学, 人間発達学部, 准教授 (40310445)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 総合的運動遊び / 幼児 / 身体の動き / 多様性 / 身体活動量 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、総合的運動遊びの実施と成果について次の3点に取り組んだ。 ①身体能力の測定:総合的運動遊びを含む遊びプログラムに取り組んだ幼稚園3~5歳児の身体能力を春と秋から冬の2回測定した。その結果、3・4歳児では能力の伸びが著しく多様な動きを経験することによって能力向上が見られた。また、体の動きが巧みになった。しかし5歳児は、他年齢と比べて大きな伸びが見られなかった。5歳児はそれまでにさまざまな遊びを経験して多様な動きができることに加え、年度後半に行事が多くなるため自分たちで主体的に身体を動かして遊ぶ機会や時間が他の年齢の子どもよりも少ないことが一因であると考えられる。身体の動きの発達は、発達によって獲得するだけでなく、取組みの機会や時間が関連している可能性がある。 ②身体活動量の測定:保育園4歳児と5歳児の総合的運動遊びの自由遊びと一斉活動時の身体活動量の測定と観察を実施した。その結果、天候や活動内容によって身体活動量が大幅に変動し、特に戸外遊びでは全体的に活動量が高まる傾向が見られた。また、保護者へ質問紙調査を実施し、家庭での身体を動かす活動の実態と保護者の意識を明らかにした。 ③研究成果の発表・発信:リーフレットを保育者向けに作成、配布したことにより、雑誌にも取り上げられて、多くの園や保育者が運動遊びに取り組むようになった。さまざまな園の実践を観察して、遊びの種類だけでなく、遊びの提供方法によって幼児の動きの違いが見られることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
横断的・縦断的な観察と測定を実施することができた。特に、幼児の身体活動量の経年変化を検討することができた。 観察対象は3歳児から5歳であるが、遊びの種類による違いの検討に加え、場面による違いも測定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度、27年度に続き、総合的運動遊びの取組み実践と能力測定を行い、年齢による違いと経年変化を検討して、動きの発達過程を明らかにする。 また、保育園において、総合的運動遊びを含む自由遊びと一斉活動時の活動量測定と観察を実施した。戸外遊びの中でも遊びの種類によって身体活動量が異なることが予想されるため、28年度はそれぞれの活動時における活動量や活動強度を分析して、その結果と幼児の身体活動量との関連についても検討する。 さらに、遊びの種類など内容だけでなく、幼児の主体的な遊びの取り組みの機会や時間の多少が幼児の動きに影響する可能性が示唆された。そのため、遊びの種類やルールの提供方法などの決定過程など保育方法との関連を検討する。 これらの検討から、幼児の身体的・社会的発達を促すための総合的運動遊びの環境構成を示して個人差に対応した実践をするための指導方法を提唱する。
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Research Products
(8 results)