2014 Fiscal Year Research-status Report
幼児の基本的動作習熟度及び活動動作水準に応じた運動プログラムのための基礎的研究
Project/Area Number |
25350943
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐々木 玲子 慶應義塾大学, 体育研究所, 教授 (80178673)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 幼児 / 基本的動作 / 動作の習熟 / 運動プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,現代の幼少期の子どもたちに問題とされている運動能力の低さや動作の未熟さの改善に向けて,効果的に利用できる適切な運動プログラムを提案するための基礎となる資料を得ることを目的としている。まず平成25年度までに,観察的評価法を用いて幼児の走,跳,投など基本的動作の習熟度について現状における水準や発達的特徴を明らかにした。 先行研究においては,体力や運動能力の高い子どもは日常生活全般の活動量が多い傾向が明らかにされている。しかしながら多くの動作を獲得していく過程にある幼児においては実際に動きを経験することでその動きを身につけていくことから,動作の習熟に関しては単に歩数などを指標とした活動量だけではなく日常的にどのような動き,活動を行っているのかということ(質)が影響を及ぼすと予想される。したがって,普段行う運動,活動の質について実際の様子を明らかにしていく必要があると考えられる。これらのことを踏まえて本年度(平成26年度)は研究の主要データの収集に着手した。幼稚園の現場において自由遊び中の幼児の活動動作をVTRに収録し,時間中の出現動作を時系列に沿って詳細に観察,記述した。そこから運動能力の高低,あるいは学年,性別による出現動作の違いを分析した。その結果,運動能力の高い幼児は低い幼児に比べて観察される動作の種類が豊富であり,また動作から動作への展開が早いという傾向がみられた。また,これは年長児で顕著であり年少児では必ずしも両者の明確な違いはみられない事例もあった。これらの内容は,今年度までの研究成果として関連学会において発表を行っている。またこれらの結果の一部を,協力園での事後の研究会等における研修内容として還元している。 なお取得データについては,現在さらなる分析を行い内容について検討中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は,前年度までに明らかにしてきた幼児の基本的動作の習熟の水準をふまえ,保育活動内における自由遊び中の活動動作の実際を捉えることを目的とし,対象園(フィールド)における測定,観察(VTR映像)データの収集を中心として研究を遂行した。現在のところ,複数の幼稚園おいて収集したVTR資料と身体活動量データを元に分析を継続中である。また,一部の分析結果については,平成26年度内の関連学会において発表を行っており研究全般としてはほぼ当初の予定通り進んでいると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の成果を踏まえて平成26年度は本研究の中心課題となる幼児の活動動作の実態をとらえるためフィールドでの測定,調査を行った。今後はここまでのデータの分析を進め,結果の考察を進めるとともに最終年度としてのまとめの方針をたてていく。また,その過程で更なるデータの収集あるいは分析方法の検討が必要となる可能性が出てきた場合には,年度の中盤までに対処できるようにしたい。これまでの成果は,6月,9月の関連学会での成果発表を行うとともに,そこでのディスカッション等も考慮して論文にまとめ,成果を公表する予定である。さらに,データの収集における協力園等の現場に対しても,研究成果の内容を還元する場を設ける予定である。
|
Causes of Carryover |
旅費(特に国外旅費)が予算額に対して使用額が若干少なかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度である次年度にあたり,人件費,印刷製本費等,若干の増加の可能性を見込んでいる。
|
Research Products
(3 results)