2013 Fiscal Year Research-status Report
天然資源抽出物の化学変換による構造多様性の高い化合物ライブラリーの創出
Project/Area Number |
25350959
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊地 晴久 東北大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (90302166)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多様性指向型合成 / 多様性拡大抽出物 / セスキテルペン / 天然物化学 / 構造決定 |
Research Abstract |
1.構造多様性の高い天然由来化合物ライブラリーの創出 購入可能な生薬など容易に入手可能な天然資源の抽出物に対して,直接,化合物の分子骨格を変化させるような反応を行うことで,それに含まれる化合物の構造多様性が高められた「多様性拡大抽出物(diversity-enhanced extract)」を用いて,構造多様性の高い天然化合物様ライブラリーの創出をおこなった. 生薬・ガジュツの抽出物に対して,メチルトリフルオロメチルジオキシランを作用させることで,抽出物中に含まれる化合物の一部のオレフィン部位をエポキシ化した.つづいて希土類トリフラートによる触媒下,エポキシ環の開環反応を行うことで,含まれる化合物の分子骨格が変換された多様性拡大抽出物とした.これを各種クロマトグラフィにより分画し,含まれる化合物を単離・構造決定した.その結果,7種の新規セスキテルペン様化合物が得られた.これまでに数多くのセスキテルペン類が天然物・合成品を問わず報告されているにもかかわらず,本研究で得られた7種の化合物のうち2種ははセスキテルペンとして新規骨格を有していた.また,これまでに全く報告されていない複雑な三環性エーテル構造を有する化合物なども得られた.したがって,本研究で提唱している多様性拡大抽出物を用いる手法は,新規骨格・新規環構造を有する構造多様性に富んだ化合物群を得る手段としてきわめて有用であることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の項で記したように,「1.構造多様性の高い天然由来化合物ライブラリーの創出」に関しては,天然資源抽出物に対して直接,化合物の分子骨格を変化させるような反応を行うことで,それに含まれる化合物の構造多様性が高められた「多様性拡大抽出物(diversity-enhanced extract)」を用いる手法を提唱し,実際に生薬・ガジュツの多様性拡大抽出物から,構造多様性の高い化合物群が得られることを示した.したがって,本研究は当初の予定通り順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も,本研究の目的が達成できるよう,研究計画にもとづいて推進していく予定である.特に,今年度も実施していた研究目的である「1.構造多様性の高い天然由来化合物ライブラリーの創出」に関しては,研究計画記載のようにオレフィンメタセシスによる分子骨格の変換,溝呂木・Heck反応による分子骨格の変換を利用した多様性拡大抽出物を作成し,それらからの構造多様性の高い化合物群の創出を行う.また,研究計画の「2.得られた天然由来化合物ライブラリーを用いた自然免疫制御物質の探索」で記したように,得られた化合物群を用いて自然免疫に作用する化合物の探索を行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことにより発生した. 平成26年度請求額と合わせて次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である.
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