2014 Fiscal Year Research-status Report
リボゾーム工学に基づく新規マクロライド抗生物質の創出
Project/Area Number |
25350964
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小谷 真也 静岡大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (20510621)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 放線菌 / 育種 / マクロライド / リボゾーム工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
放線菌の産生するマクロライド抗生物質は、その多様な構造と活性から医薬産業上重要な化合物群である。最近の研究で申請者は、新規マクロライドの単離・構造決定に成功している。さらに、このマクロライド生産放線菌を標的に薬剤耐性を用いた微生物育種を行い、野生株で生産されない新規マクロライドの生産法を確立してきた。本研究は、これらの成果に基づいて計画されたものであり、新規マクロライドの化学構造の決定を行い、新しいマクロライドの発見を目指す。また、薬剤耐性株のDNA配列に基づきどの遺伝子変異がマクロライド生産に有効かを究明する。得られた知見を元にエリスロマイシン生産放線菌の育種を行い、安定かつ多様な類縁体を生産する新規概念“リボゾーム工学”に基づくマクロライド抗生物質生産技術を確立する。 本年度は、放線菌Streptomyces ascomycinicusを重点的に育種に取り組んだ。その結果、PDA培地を用いた時に、自発的変異体が得られた。さらにその変異株約50株をPDA寒天培地で培養後、有機溶媒で抽出し、ダイオードアレイを用いたHPLCによる分析によって、野生株には見られない新たなピークが出現したことを確認した。高分解能ESI-MSの測定によって分子式が得られ、ダイオードアレイのUV極大吸収の情報、HPLCの保持時間とあわせて考え、マクロライド系の低分子性化合物であることが示唆された。さらにNMRでの構造解析を視野に入れ、培養を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数の放線菌において微生物育種に取り組んだ。そのうち、放線菌Streptomyces ascomycinicusに関して、野生株では見られない物質の検出に成功した。その表現形は胞子形成能を失い、色素生産も見られなくなった。このように、表現形と二次代謝の密接な関係がみられたことから、今後、野生型と表現形の異なる変異株を抽出し、二次代謝産物の分析を行っていくことで、効率的に有望な変異型の創出を行える基盤が確立した。
|
Strategy for Future Research Activity |
申請者の研究室において、ゲノム情報のすでに明らかとなっている放線菌株を20-30株保存している。そのゲノム情報から、未発現のNRPSやPKSの遺伝子が多数あることが明らかとなっており、それらの菌株を用いて育種を行っていく。また、変異株が得られた場合、その遺伝子の変異した部分の解析が必要となるが、ゲノム情報の明らかになっている株を用いることで、その後の解析が行え研究の推進が見込める。
|