2013 Fiscal Year Research-status Report
段階特異的な胚発生阻害活性を有する新規細胞機能調節物質
Project/Area Number |
25350965
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
太田 伸二 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (60185270)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生理活性物質 / 海綿 / 棘皮動物 / 胚発生 |
Research Abstract |
日本近海で採集した海綿および海洋微生物をメタノール等有機溶媒で抽出して得た抽出物について、段階的に希釈した濃度でイトマキヒトデ受精卵およびバフンウニ受精卵に加えて、初期発生等に対する影響を顕微鏡下で観察し、胚発生阻害スクリーニングを行った。その結果、棘皮動物の胚発生を特定の発生段階で選択的に阻害する活性が、2種の海綿抽出物および1種の海洋細菌抽出物に認められた。活性が認められた有望な検体の1つである奄美大島産未同定海綿のメタノール抽出物をヘキサン、酢酸エチル、ブタノールおよび水の各可溶性画分に溶媒分画した。これらのうち活性が認められた酢酸エチル可溶性画分を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーおよび逆相カラムクロマトグラフィーにより繰り返し分画・精製することにより3種の活性物質を単離した。NMR、MS等によって活性物質の構造を解析した結果、臭素含有インドール誘導体類であることが明らかになった。これら活性物質が結晶性であることがわかったためX線結晶構造解析用の結晶を作成中である。また、胚発生阻害スクリーニングで活性が認められた瀬戸内海産の海綿1種のメタノール抽出物についても溶媒分画により活性を示す水溶性画分を得た。逆相カラムクロマトグラフィーおよびイオン交換カラムクロマトグラフィーにより繰り返し分画・精製することにより、活性物質を得た。両親媒性かつニンヒドリン陽性の本活性物質は、分光学的手法等による構造解析の結果、4員環性複素環骨格を有すると推定されたため、ベンゾイル化等誘導体に導いて構造解析を進めている。さらに、活性が認められた海洋細菌の1種のブタノール抽出物について溶媒分画を行い、活性を示す酢酸エチル可溶性画分を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィーおよび逆相カラムクロマトグラフィーにより活性成分を分画・精製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胚発生阻害スクリーニングにより、選択的阻害活性示す海綿および海洋細菌の抽出物を選び出すことができた。それぞれの抽出物中に含まれる生理活性物質の分画・単離まで進んできており、それらの化学構造もほぼ推定ができつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度に引き続き、各種海綿の抽出物について、胚発生阻害スクリーニングを行って活性物質を探索するとともに、これまでに得られた有望な活性物質について、大量抽出によって単離し構造を決定する。 得られた生理活性物質の化学構造を部分的に化学修飾・変換し、どの部分構造が活性発現に重要であるかを調べ、構造活性相関を明らかにするとともに、より簡単な構造でより強い活性を示す類縁体を見つけ出す。以上の知見を総合して、棘皮動物胚発生過程で発生段階特異的に阻害する新規な細胞機能調節物質を開発するとともに、細胞膜透過性に優れた抗癌剤候補等有用な薬剤開発のためのリード化合物の開発を図る予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
胚発生阻害スクリーニングにより、計3種の有望な選択的阻害活性示す海綿および海洋細菌の抽出物を選び出すことができた。このうち、2種の活性物質については生理活性成分の分画・単離まで進んでいるが、残る1種の海洋細菌に含まれる活性成分については、成分量の少なさと成分の種類の多さから精製にまでは至っておらず、予定していた生理活性試験が次年度の実施となり、生理活性試験に必要な人件費を次年度使用することになったため。 前年度実施する予定であった生理活性試験を次年度実施するのに必要な人件費を増額して使用するとともに、活性物質の分画精製および活性試験に用いる溶媒・試薬・器具等の物品費、研究打ち合せ旅費として使用する計画である。
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