2015 Fiscal Year Annual Research Report
伊予灘を中心とした未利用海産資源由来の生物活性物質の探索
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25350966
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
倉本 誠 愛媛大学, 学術支援センター, 准教授 (50291505)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 海洋生物 / 海綿動物 / 探索研究 / 構造解析 / 生理活性物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
愛媛県佐田岬周辺は、伊予灘や宇和海に囲まれており、豊富な海産資源が得られていた。古くからの海産業の中で、価値の低い物は商品とはならず廃棄されている。しかしながら、多くの海洋生物は共生微生物を内包しており、新しい構造や生理活性を有する新物質の探索対象として魅力的な生物である。佐田岬の三崎漁業協同組合の協力を得て、水深100m付近に生息するカイメン動物を中心に生物採集を行い、7種計150kgの生物採集を行った。このカイメン抽出液および共生微生物について分析を行った。 カイメン動物は、二種のカイメン動物を中心に実施し,未同定のカイメン動物から新規フラノテルペン化合物の構造を明らかとした。またAxinella種は、有機層からブロモピロール環を有するアルカロイド類が得られることを前年度までに明らかとしてきたが、今年度はこの環に特徴的な270nmの紫外吸収を指標としてHPLC分析を行ったところ、特徴的な20種のピークを検出した。このうち強度の高い7種について分離し構造を解析した結果、既知物質ではあったがすべてブロモピロール方の化合物であった。今後はこの分離を継続することで、微量成分の発見につなげていきたい。また、水溶性画分からはオロイジン二量体であるAxinellamine前駆体を発見し、絶対立体化学を含めた構造解析を達成した。本物質は予測されていたが発見されていなかった物質であった。また質量分析を指標として分離を進めることで、新規環状ペプチドAxinamideを発見した。現在の所顕著な細胞毒性は認められていないが、他の生理活性についての調査を進めている。 また、Axinella種から分離したの37種の共生微生物について、少量の培養を試みたが安定した培養条件の設定には至っていない。さらなる条件検討を行い分析を試みたい。
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