2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25350996
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
戸田 春男 新潟大学, 医歯学系, 講師 (10217507)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 久 新潟大学, 研究推進機構, 准教授 (40373328)
中原 潔 高知工科大学, 総合研究所, 教授 (50372363)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ラット形態視 / 光遺伝学 / 微小皮質脳波法 |
Research Abstract |
脳の各部位の刺激画像特異性をを調べるための刺激用画像セットとして、ラット顔、ラット身体、建物、人工物(楽器・食器等)の4カテゴリについて、各20種類計80枚用意した。全ての画像が等しい輝度及び空間周波数スペクトルを持つように調整し、さらに各刺激画像について10種類の位相スクランブル画像を生成した。次いで、これらの図形をランダムな順序でモニタの左上、右上、中央、左下、右下の五点からランダムに選んだ点に表示するための制御プログラムをFreePascal/Lazarus上で開発し刺激環境を整えた。 上記刺激セットを用いて、LongEvansラット(n = 19)の第一次視覚領(V1)から側頭にかけての領域から、64ch 皮質脳波(ECoG)応答を記録した。各例でのデータ記録時間は18から30時間であり、記録されたデータ数は各図形について150から300試行であった。現在得られたデータの解析中である。予備的な解析によると、全例で、画像呈示(位相スクランブル画像→本画像と変化させる)後50-600msに亘って、第一次視覚領(V1)を中心として視覚誘発性ECoG信号がみられた。一部の例で、画像呈示後の時間に対して画像間の応答の標準偏差をプロットしたところ、画像呈示後200ms及び500msにV1及びその前外側で標準偏差の大きくなる(画像によって応答が異なる)部位がみられた。 これらと並行して、光遺伝学的手法と皮質脳波法を組み合わせる技法を確立するための実験を行った。アデノ随伴ウイルスによって高効率型チャネルロドプシンを導入したLongEvansラットを用いて、32ch ECoG信号と皮質内局所電位(LFP)とを記録しながらV1をさまざまな周波数で光刺激した。この研究の成果は近日中に論文投稿する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
刺激画像の生成、光遺伝学的技法を含む麻酔下急性実験系の整備、及びラット側頭の形態刺激に対する基礎的なECoG応答の収集を行うことができた。しかしながら、麻酔下急性実験での形態視関連領域の特定には至っていないため、上記判定とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
データ解析による麻酔下急性実験の結果判定が急務である。時間領域での検討だけではなく、応答の周波数別パワーを用いた検討も行い、画像選択性の有意性を統計学的に評価する必要がある。 その結果に従って、いくつかの方策が考えられる。(1)麻酔下急性実験で形態視関連領域が特定できれば、ECoG電極の再設計を行い、同領域における精密な計測を行うと同時に覚醒下光刺激実験の準備を行う。(2)麻酔下急性実験で形態視関連領域が特定できなければ、(2-a)ECoGでは検出能力が不十分であるのかもしれない。これを克服するには、ニューロン活動の細胞外記録に切り替える。(2-b)今回用いているNLA変法は比較的神経活動を減弱させない麻酔法であると思われているが、それでも麻酔下では有意な応答が出にくいのかもしれない。これを克服するには、覚醒下の実験系に移行するのが得策である。 ある程度候補領域が絞られていないと電極刺入点を決められないため、(2-a)は実際には困難である。そこで、(2-b)を先に試みるのが得策であると考える。この方策にはまた、ラットの形態視能力に光遺伝学的手法によって干渉する実験の基礎となるという利点もある。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画中のECoG電極の新規作成費について、仕様が固まらなかったため発注が遅れている。 「今後の研究の推進方策」に述べたように、データの解析結果が終了した段階で、再設計と発注を行う予定である。また、近日中に論文を投稿することを予定しており、その英文校閲と投稿料としても充当する。
|