2013 Fiscal Year Research-status Report
発光でCREB活性化を計測できるマウスを用いたうつ病からの回復メカニズム解明
Project/Area Number |
25350998
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
石本 哲也 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (40397170)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ルシフェラーゼ / CREB / イメージング / リン酸化 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
大脳皮質における転写因子CREBのリン酸化は、記憶形成や精神神経疾患に関係があると考えられているが、脳のどの部位で、どのタイミングでCREBリン酸化が亢進するのか今までは生体脳で解析することは不可能であった。今回、スプリットルシフェラーゼ技術を利用したCREBリン酸化検出プローブを、アクチンプロモーター下で発現するトランスジェニックマウスを作製することで、生体脳でのCREBリン酸化解析を可能にし、薬物に対するCREBリン酸化反応の変化を解析するために、うつ症状を誘導することが知られているレセルピンを3日間連続で投与した。投与の前後、マウスにルシフェラーゼの基質であるルシフェリンを投与し、脳からの発光を計測すると、レセルピン投与後に大脳皮質の一部からの発光が上昇していることが明らかになった。この結果は、うつ誘導剤投与によって大脳皮質の一部でCREBリン酸化が亢進することを示している。さらにこのマウスをうつ症状を計測する解析法であるtail suspension testで無働時間を調べると、レセルピン投与マウスではうつ症状が亢進していることが分かった。脳表面を33の区画に分け、それぞれの区画での発光強度の変化を計算し、それぞれの変化率とうつ症状の重篤度との相関があるかどうか調べると、特定の区画での発光上昇とうつ症状の重篤度が、高い相関を示した。この結果は大脳皮質における特定の部位でのCREBリン酸化上昇が、レセルピン投与によるうつ症状誘導と深く連関していることを意味する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画で、レセルピンでマウスにうつ症状を誘導し、その後抗うつ剤でうつ症状を緩和する際の、CREBリン酸化を発光計測する予定であったが、レセルピンを投与した時点で、今まで報告がないようなパターンのCREBリン酸化パターンの変化が見られたため、学術的に解析の価値があると考え、抗うつ剤によるCREBリン酸化への影響を調査する前に、うつ誘導剤レセルピンによるCREBリン酸化への影響を調査するほうが先決と判断した。解析自体は問題なく進捗している。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず現在進行中のレセルピンに対する脳内CREBリン酸化反応のデータを集積し、レセルピン投与によってCREBリン酸化反応がどう変化するか結論する。その後、最初の目標であった、抗うつ剤に対するCREBリン酸化反応の変化を解析する。また、マウスが長期記憶を形成する際に、大脳皮質でのCREBリン酸化が必要であるかどうか解析したい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた海外の学会に参加しなかったため、旅費を計画通りに使用しなかった。また、論文投稿も行わなかったため、英文校正など「その他」で申請した金額も計画通りに使用しなかった。物品費はほぼ申請通り使用した。 研究自体はほぼ計画通り進捗しているので、今まで通り実験を遂行する。また、本年度は海外での学会発表も計画しているので、旅費に関しても申請通りに執行する予定である。
|