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2015 Fiscal Year Research-status Report

ベトナム戦争のオーラル・ヒストリーと「戦争の記憶」に関する複合的研究

Research Project

Project/Area Number 25360006
Research InstitutionTokyo University of Foreign Studies

Principal Investigator

今井 昭夫  東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (20203284)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2017-03-31
Keywordsベトナム戦争 / 戦争の記憶 / ベトナム地域研究 / ベトナム近現代史
Outline of Annual Research Achievements

平成27年度は、本研究プロジェクト関連の研究実績としては、エッセー1本、現地調査1回、研究会での発表1回、訳書1冊となる。
エッセーは『女性史学』第25号(2015年)に発表した「ベトナム戦争と女性兵士」で、本科研でこれまでに行なってきた聞き取り調査のなかで、女性を対象とした聞き取り調査の成果を反映したものである。抗仏・抗米の戦争中、傷痍軍人との結婚を奨励される運動があったこと、抗米戦争になると、いっそう女性の戦争への動員が高まったこと。それは正規軍人や民兵といった戦闘員ばかりでなく、青年突撃隊という、補給物資の運搬や道路建設などに従事した、女性が約8割を占める後方支援組織に顕著に見られること、などを論じた。
現地調査は2015年7月~8月にかけて、ベトナム中部のビンディン省で実施した。ここはベトナム戦争中、韓国軍が駐留していたことで有名で、それにまつわる虐殺記念碑なども多い。韓国軍に対する現地退役軍人の印象は予想通り「非常におそろしかった」というものであった。混血児の「ライダイハン」の数はそれほど多くないとのことであった。当時、解放側の駐屯地に、韓国軍の戦闘ぶりを視察するために北朝鮮軍兵士がきていたとの情報は耳新しかった。
11月に社会主義圏の戦争の記憶をめぐる研究会があり(於明星大学)、「ベトナムにおける社会主義国間の連帯と軋轢の記憶 -中越戦争の記憶・語りを中心にして」を発表した。20世紀後半の冷戦期、ベトナム戦争、中越戦争などがどのように記憶されてきたのかう、社会主義国間の連帯と軋轢の記憶という観点から考察し、ベトナム戦争が単なる「代理戦争」ではなかったことを明らかにした。
ベトナム戦争を描き、ベトナムにおける新たな戦争の記憶の在り方を示した小説、ホアン・ミン・トゥオン著『神々の時代』を拙訳で2015年度末に東京外国語大学出版会から刊行した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2015年度も研究を着実に進めてきたが、ホアン・ミン・トゥオン著『神々の時代』(全570ページ)の翻訳・編集作業に予想以上に時間をとられた。この翻訳自体は本科研の研究遂行にとって十分に意味のあるものであるが、これに時間がとられたことによって、現地調査が1回しか実施できず、また聞き取り調査の報告論文をまとめることもできなかった。

Strategy for Future Research Activity

2016年度は当初の計画通り、2回の現地聞き取り調査を実施したい。調査地は、北緯17度線沿いのヴィンリンと並んで特別区であった中国国境地方のクアンニン省と、少数民族地域で激戦地であった中部高原を予定している。また旧ハノイ総合大学(現在のハノイ人文社会科学大学とハノイ自然科学大学)の学徒出陣兵だった人への聞き取り調査も継続していきたい。
2016年度は最終年度でもあり、本科研の成果を総括するような論文をまとめ、発表したい。また、聞き取り調査の一覧も作成する予定である。

Causes of Carryover

ホアン・ミン・トゥオン原作『神々の時代』の翻訳・編集に思ったより時間をとられた。この翻訳自体は本科研プロジェクトの研究内容と密接な関係をもち、本研究遂行上、有意義なものであるが、出版社の刊行予定などにより翻訳・編集・校正をその日程に合わせなければならず、現地聞き取り調査を計画通り2回実施することができず、1回だけで終わった。またそのため、聞き取り調査の録音のテープ起こしのための人件費・謝金を使用するにいたらなかった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

2016年度は当初の予定通り、聞き取り現地調査を2回、あるいは可能であれば繰り越し分をいかして3回実施したい。またプロジェクト最終年度であるので、収集した聞き取り調査資料の整理のための人件費・謝金を支出したい。

  • Research Products

    (2 results)

All 2016 2015

All Journal Article (1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] ベトナム戦争と女性兵士2015

    • Author(s)
      今井昭夫
    • Journal Title

      女性史学

      Volume: 25 Pages: 93-94

  • [Book] 神々の時代2016

    • Author(s)
      ホアン・ミン・トゥオン原作、今井昭夫訳
    • Total Pages
      570
    • Publisher
      東京外国語大学出版会

URL: 

Published: 2017-01-06  

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