2015 Fiscal Year Research-status Report
認知症介護が家族関係に与える影響~メキシコの拡大家族の凝集性は保たれるのか~
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25360017
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
松岡 広子 愛知県立大学, 看護学部, 准教授 (60249274)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 認知症 / 介護 / 高齢者 / 家族 / メキシコ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの調査結果を中間発表として学会にて公表した。 認知症の行動・心理症状(BPSD)と認知症介護をきっかけとした家族・親族間の結びつきの変化との関連を明らかにした。同居家族間における結びつきの変化の有無と有意に関連した症状は妄想、動揺攻撃、脱抑制、易怒、多幸、睡眠障害であった。同居家族と近住の家族・親族間における結びつきの変化の有無と有意に関連した症状は妄想、動揺攻撃、アパシー、脱抑制、易怒であった。同居家族と遠方在住の家族・親族間における結びつきの変化とBPSDとに有意な関連はなかった。 多幸と睡眠障害は同居の場合にのみ、アパシーは近住の家族・親族が関わる場合にのみ有意な関連を示した。患者と日々接している同居家族にとって、多幸は患者自身が介護の負担を理解していないように捉えられて不快なものであり、睡眠障害は生活リズムを狂わせて疲労を蓄積させる厄介なものである。ときどき患者に接する近住の家族・親族にとって、アパシーは患者の病状の悪化を印象付けて、患者に関わろうとする気力を削いだり、同居家族への不信を生んだりする。それらの症状に加えて、妄想、動揺攻撃、脱抑制、易怒といった陽性症状が速やかに緩和されれば、介護者の直接的な負担が軽減するだけではなく、家族・親族間の結びつきがより良い形で維持もしくは回復でき、同居家族や近住拡大家族が患者と介護者を積極的に支援し続けることにつながることが示唆された。 より詳細な分析のために、前年度までに実施した調査への新たな参加を募り、追加的データを取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査実施団体のうちひとつは、施設の拡充および受け入れ定員の増加のために都心部から郊外に急遽移転して間もない状況であった。もうひとつは、経営陣と臨床のキーパーソンとの内紛により混乱して、首都の団体が地方都市の団体により支配されるという事態に見舞われていた。このような民間の非営利団体特有の流動的な情勢にもかかわらず、研究代表者および研究協力者の粘り強い交渉により、追加的データを取得できた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査結果をまとめて分析して、学会にて公表する。本研究の成果を認知症患者の家族の支援に活かすために、結果を調査実施団体にフィードバックして、さらに研究を発展させる。
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Causes of Carryover |
出発日および帰着日を調整することにより、航空運賃の低減に努めた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の学会発表のための参加費および国内旅費に使用する。
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Research Products
(1 results)