2015 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアのインドシナ半島諸国における地域政策形成の比較研究
Project/Area Number |
25360028
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
生田 真人 立命館大学, 文学部, 教授 (40137021)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地域政策 / 産業政策 / 空間政策 / インドシナ半島 / 東南アジア / 地域格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究の主な目的は、インドシナ半島の国々の地域政策の形成を比較考察することであった。各国は、タイを除くとイギリスやフランスの植民地となり、独立後も国内の政治と経済は東西冷戦の影響やあるいは民族間対立の影響受けて複雑な経緯をたどったが、このような経緯から、国内の地域開発は、東南アジアの島嶼部の国々に比べてかなりの後れをとった。東南アジアの地域統合は、島嶼部の国々が主導して推進されてきた。このためインドシナ半島の国々は、国内整備の進展と国際的レベルでの地域統合が同時期に進展するという複雑な事態を迎えることになった。こうした複雑な政治経済動向の下にあるインドシナ半島諸国の国際的地域統合の進展と、各国内の地域整備を相互に連動させながら研究した。 平成27年度については、特に諸国間の経済格差を条件として活発化している産業活動のあり様つまり国境経済と、それから各国の国土整備を主眼とする空間政策の2点にについて研究した。国境経済については、中国南部とベトナムそれからカンボジアとタイ、そしてカンボジアとベトナムの国境地域での成長が著しいことが分かった。 こうした調査の結果、インドシナ半島諸国において、地域格差の是正を主目的とする地域政策をみる際には、タイとその他の諸国とを分けてみた方が良いことが分かった。タイは産業政策と一体化した地域政策が以前から実施されてきた。その他の諸国は、産業政策と明確に区別される独自の政策体系としての地域政策はまだ充分には確立していない。それらの諸国では国民統合の実現と経済・産業政策の確立などのために、独自の政策としての地域政策を実施できる段階ではない。ミャンマーのように国民統合の観点から首都機能の移転による空間政策が重要な役割を果たす国もある。ベトナム、カンボジアやラオスでは、産業政策、空間政策と地域政策が一体化して推進されている。
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