2015 Fiscal Year Annual Research Report
日本と韓国の文化空間における〈戦後〉の記憶と相互イメージ・表象をめぐる比較研究
Project/Area Number |
25360030
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
李 恵慶 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (20648737)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ポストコロニアル韓国 / 記憶の政治学 / 自己/他者表象 / 被害者ナショナリズム / 歴史ドキュメンタリー / 政治的無意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アジア太平洋戦争や第2次世界大戦後、日本と韓国は〈戦後〉をどのように認識し、〈他者〉として互いをどう描き自己成型してきたのか。そしてそこにはいかなる政治的無意識が働いているのか。日韓の〈戦後〉の記憶と相互イメージ・表象における政治的無意識を、社会的影響力の強い文化的生産物から比較社会文化論的に分析し、日韓の歴史的トラウマと自己/他者認識の総合的な比較研究を行うことが主な目的である。 そのため、本研究では、これまで主に日韓の〈戦後〉認識とポスト植民地的状況を浮き彫りにしながら、相互イメージ・表象の変容における歴史的・政治的・社会的諸条項を比較分析してきた。研究最終年度の今年度(平成27年度)は特に、さらなる研究の充実を図ることを目指し、これまでのテクスト分析を深化させるとともに、新たな研究課題へつなげるように努めた。 今年度の主な成果としてはまず、日韓両国の戦争と植民地をめぐる歴史的トラウマとその記憶・忘却・癒しのプロセスに光を当て、自己表象/他者表象における政治的無意識を明らかにし、その一部を論文としてまとめたことが挙げられる。また、次年度(平成28年度)から実施予定のこれまでの研究成果を発展させた新しい研究課題も大きな成果といえる。その一方で、まだ分析中のテクストもあり、今後その結果をまとめ、新たな研究計画に生かすことにより、これまでの日本と韓国を中心としたポストコロニアル研究からさらに東アジアにおける複雑でかつ重層的なポストコロニアル文化研究へと発展させていきたい。
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