2014 Fiscal Year Research-status Report
近代化とラオス農村社会の再生産戦略:1975-2012
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25360034
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
西本 太 長崎大学, 国際健康開発研究科, 助教 (60442539)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小集団人口研究 / 国際情報交換(ラオス) |
Outline of Annual Research Achievements |
1.調査村の追加:前年度に調査した2村(A.出稼ぎ村、B.複合生業村)に加え、出稼ぎも生業複合化もまだ本格化していない水田農村C(127世帯)を新たに調査し、過去の人口変化に関する出生・死亡・移動の実態について家系図復元の手法で聞き取りした。その結果、この地域はベトナム戦争の影響で大きな被害を被った1970年代から人口増加が始まったことが明らかになった。現在では家族計画の浸透によって出産抑制され、出生力が低下している。 2.補足調査の実施:前年度に調査した2村で出生年・死亡年の欠損値を補足するための調査を実施し、前年度に把捉できなかったイベント発生年代を明らかにできた。これにより、過去の人口変化をより正確に把握できるようになった。 3.データ分析の進捗:これまでに収集したデータの入力と分析が進展し、地域人口の変化の様相が明らかになってきた。いずれの地域でも1970年代以降の人口増加が出稼ぎや生業の複合化による土地生産性の向上で吸収される一方、1990年代後半からは避妊による意図的な出産抑制を主たる要因として出生力低下が始まったことがわかった。 4.研究業績の発表:本研究の一環で収集した資料により、ラオス・ビエンチャンで開催された国際研究集会で発表した。家族計画の普及がうまく行かないのは、出産抑制によって実現される小家族の生計戦略に関する明確なイメージが提示されていないからであると論じた。この発表に基づいて出席者と有益な討議ができた。 5.今年度研究の意義:現地でのデータ収集に目途が付き、次年度はデータ分析と研究発表に集中的に取り組める条件が整ったことは大きな収穫である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査対象村を1つ追加し、3つの村からデータを得て特徴を比較する体制ができ、また現地でのデータ収集に目途が付いたことで、最終年度にデータ解析と成果発表に集中する条件が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに収集したデータを解析し、最終年度内にできるかぎり多く研究報告と発表を行う。
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