2013 Fiscal Year Research-status Report
バイパス型私企業活動の活性化による、マダガスカル山間部の住民行動と地域構造の変容
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25360035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
飯田 卓 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 准教授 (30332191)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 天然資源 / 暫定政権 / 小規模生産者 / アフリカ / マダガスカル |
Research Abstract |
2013年末におこなわれた大統領選挙により、マダガスカルは5年にわたる暫定政権期に終止符を打ったが、首相指名に多大な時間を要するなど、国政が安定するにはいたっていない。こうしたなかで、国家の統治力が減退したまま国外企業が活発に動くという状況は変わっておらず、当初予定の調査を遂行することができた。 とくに、砂金採取がおこなわれている山麓部河川流域では、中国系企業が選鉱機械を導入しており、現地の労働力を雇用して砂金採取をする見返りに道路を拡幅・整備しているらしいことがわかった。この企業活動は、本研究が想定していたバイパス型私企業活動によく合致しており、今後もしこの活動を追跡調査できれば、その特色を明らかにできると期待できる。 また、それとは別に、人道的支援と称して山間部の住宅新築を奨励するフランス系NGOにも接触をはかった。このNGOは、ユネスコが無形文化遺産に登録している家屋装飾の木彫りを保護伝承するため、木造家屋だけの新築を奨励しており、非伝統的な素材を使った家を壊すことを条件に無償援助をおこなっていた。しかし、そのために木材資源が少なくなってきており、建材に適さない種類が代用されたり、適した種類であっても長もちする老木でなく傷みやすい若木が使われるなど、かえって木彫り実践の寿命を縮めるのではないかという懸念が出はじめている。この現象に関しては、本研究が終了した後も調査を継続することで、バイパス型私企業活動の問題点を明らかにできると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
広域調査によって、今後の研究期間で経過観察すべき現象の見当をつけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
上記2件のバイパス型私企業活動に着目し、それが可能になっている政治的背景を明らかにするとともに、住民行動の変容について調査を進めていく。
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Research Products
(10 results)