2014 Fiscal Year Research-status Report
バイパス型私企業活動の活性化による、マダガスカル山間部の住民行動と地域構造の変容
Project/Area Number |
25360035
|
Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
飯田 卓 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 准教授 (30332191)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 天然資源 / 暫定政権 / 小規模生産者 / アフリカ / マダガスカル |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度(2013年度)の調査で明らかになったことのひとつに、フランス系のNGOが人道的支援と称して、山間部の木造民家新築を奨励するプロジェクトを進めているという事実がある。第2年度(2014年度)はこの点についてより詳しい調査をおこない、新築された民家の木材にかならずしも適切な樹種が用いられていないこと、適切な樹種の場合でも樹齢の若い材が用いられていることが明らかとなった。このことは、周囲の森林からの建材調達が困難になっていることを示している。そのいっぽうで、建築技能を身につけた特定の村の職能者たちは、建築景気に喜びを隠さない。海外に拠点を置く団体の活動が村の経済構造を大きく変えているという点で、国家の調整を受けない「バイパス型私企業活動」の一例とみなすことができた。 こうした活動が近年活発になっている理由としては、2009年初頭から2013年末まで約5年間続いた暫定政権の統治力が弱かったことよりも、2002年から2008年にかけて進められた地方分権政策の影響が大きかったことが、文献調査により明らかになった。地方分権政策の影響は、鉱物採掘や自然保護の分野でとりわけ大きかったようである。 以上の成果の一端は、2014年12月に開かれたアメリカ人類学会(AAA)でも報告した。また、このことに関する英語論文ならびに日本語論文の発表媒体もほぼ決まっており、2015年度はこのための執筆にあてる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度(2013年度)の調査で明らかになったことのうち、NGOによる木造民家新築支援の影響は明らかになったものの、もうひとつの課題である砂金採取の活性化ないし大規模化については、第2年度(2014年度)の調査ではじゅうぶん時間をかけられなかったため、深めることができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
第2年度(2014年度)に深められなかった砂金採取の活性化ないし大規模化について、資料を集めるよう務める。調査が終了した項目については発表準備が進んでいるため、第3年度(2015年度)に予定していた学会発表の優先順位を下げて、現地調査を優先させることとする。
|
Research Products
(5 results)